妻との「永遠の別れ」 男性がやがて現実を受け入れるまで 「悲しいけれど」妻のいない人生を考えていく
悲しみはなくならないとしても、悲しみのいろや形は変わっていくものだと思います。 ■嘱託社員として働くことに 「もういない」という現実を見つめることで、悲しみがいっそう深くなることもありえます。 しかし、覚悟ができ、悲しみとともに生きていく方法を考えられるようになったりもするものです。 3カ月がたった頃、久しぶりに先ほどの男性が私どものところに来られました。九州の温泉地をめぐり、戻ってこられたそうです。
ひとり旅は寂しかったけれど、いつも奥様が一緒にいてくれるような気がしたことや、寂しさや苦しさは自分で抱えて生きていくしかないと気がついたことを話してくれました。 「これからは、これまで働いていた会社で嘱託社員として働くことにしたんだ」 こう決断された男性の言葉は、奥様がもういないということを受けとめ、これからの日々に希望を見いだそうとしているようにも思えました。 受け入れがたい現実に向き合うためには、準備のための時間が必要だったりします。
精神的にも身体的にも準備が整うときまで、あせらずに待つことも大事です。 (まとめ)「失ったもの」「失っていないもの」を考えてみる
坂口 幸弘/赤田 ちづる