妻との「永遠の別れ」 男性がやがて現実を受け入れるまで 「悲しいけれど」妻のいない人生を考えていく
「あなたはまだマシですよ」とほかの人と比べて死別の重みを和らげようとする人もいるでしょう。 死別はだれもが一度ならず経験しますが、その体験や向き合い方は人によって大きく違うものです。まわりの人がよかれと思って発した言葉が、自分にはいいと思えないことはよくあります。 ここでやっかいなのは、その人たちに悪意はなく、多くの場合、悲しんでいる人を慰めたり励ましたりしようと、言葉を発していることです。 もしそのような人たちに出会ったなら、彼らの言葉をあまり正面から受けとめずに、聞いているふり、わかったふりをしてやりすごすことが賢明だと思います。
まわりの人のことを気にしすぎないようにすると、自分なりのペースで、過ごすことができるようになります。 SNSから離れることもときに大切です。よけいな情報に悩まされることが少なくなるのではないでしょうか。 (まとめ)聞いているふり、わかったふり、やりすごすことも一つの方法 ■「悲しいけれどもういない」という現実を見つめる 人によっては、死の現実を信じたくない、認めたくないという思いが強いかもしれません。
亡き人がもういないという現実を頭ではわかっていても、気持ちとして受け入れられない……。 現実を考えないようにしながら過ごしている人もいます。 このような心理状態は、無意識的に起こる防衛反応の一つで、受け入れがたい現実に押しつぶされそうな心を守る緩衝材として働くと考えられています。 「妻はまだ病院に入院していると思うことにしているんだよ」と話してくれたのは、長い闘病の末に妻を亡くした60代の男性でした。
「今はそうしないとさみしくて。死を受け入れられていないということなのかもしれないけど、今はそう思うことでなんとか生きているって感じかな」 少しつらそうに気持ちを打ち明けてくれました。 周囲の人から、「あきらめるしかない」「受け入れるしかない」といった現実を突きつける言葉を投げかけられることがあります。 大切な人の死を受けとめきれず、苦しんでいる状況では、こうした言葉はあまり心に響かないこともあります。