潜入系ルポライターが警告! 小遣い稼ぎで銀行口座を売ると“詐欺罪”で10年以下の懲役刑に
20年以上にわたり、身を挺して社会の闇を暴いてきたルポライターの村田らむさん。 ▶︎すべての写真を見る
彼が潜入取材を通して目にしてきた、日常に潜む危険を教えてもらう。
被害総額が増えている特殊詐欺
オレオレ詐欺、還付金詐欺、ギャンブル詐欺、交際あっせん詐欺など、被害者をだまして現金を振り込ませる詐欺を“特殊詐欺”と言う。 90年代末から始まり、現在も盛んに行われている。詐欺の認知は進んでいるはずだが、2004年の被害総額が283億7866万円、2022年の被害総額が370億円8135万円と、むしろ被害額は増えている。
詐欺グループが犯罪をする場合に欠かせないのが、銀行口座。どんな手口で詐欺をするにしても、現金を振り込ませる口座が必要だ。 その通帳は詐欺が露見した時点で凍結されるため、自分の物は使えない。あれやこれやの手口を使って、他人の口座を手に入れなければならない。
僕はもう20年以上ホームレスの取材をしている。取材しはじめの頃は、上野公園には数百人単位のホームレスがテントを張って生活していた。ホームレスを利用して金にしようという輩があとを絶たなかった。いわゆる貧困ビジネスだ。 「狭い部屋に住まわせて生活保護を受給させ、生活保護の大半を家賃として払わせる」のが最も多く、現在も盛んに行われている。この場合本当にホームレスが部屋に住んでいたら犯罪ではない。 ただ、ホームレスに犯罪行為やグレーな行為をさせて稼ぐ搾取も多かった。 僕がホームレスの取材を始めた2000年頃は、まさに特殊詐欺が始まった時期だった。ホームレスに銀行口座を作らせて買い取るというのが非常に流行っていた。 ボランティアなどが、「通帳を作らないように。名前や住所を貸さないように!!」と口が酸っぱくなるほど繰り返していたが、それでも通帳を作って売る人はあとを絶たなかった。 ホームレスに話を聞くと、「福祉の人は、『名前や住所(元住んでいた)を売るのは絶対にダメ。最終手段です』とか言うんだけど、俺に言わせたら最初の手段よ。みんなさっさと売っちゃう。こんな生活してて、今さら捨てられないモノなんてないもの」などと諦めたような笑顔で言う人が多かった。