潜入系ルポライターが警告! 小遣い稼ぎで銀行口座を売ると“詐欺罪”で10年以下の懲役刑に
ホームレス生活をしている人の中には、知的障害を持っている人も少なくない。つまり本人の自覚はない場合も多く、判断が及ばず、言われるまま通帳を作ってしまったというケースも多かった。 ホームレスを雇って、出し子にするケースも多い。出し子というのはATMなどで、現金を引き出す役だ。 知り合った若いホームレスは、銀行に行って、中国の窃盗団が盗んだ通帳を使って300~400万円を引き出したと自慢していた。そのときに犯罪者組織からもらったギャラは20万円と言っていた。リスクの割にあまりに安いギャラだし、あとから逮捕される可能性も非常に高い。
ホームレスは2000年代初頭と比べ随分減った。10分の1以下になっている。生活保護が受けやすくなり、生活保護アパートに住みやすくなったのだ。それと同時に上野公園など都心部に住むことは禁止された。河川敷や駅前にいけばまだホームレスはいるが、昔のようにどこにでもいるという感じではなくなった。
生活保護マンションに入っている以上、ほうっておいても毎月お金が振り込まれる。ギャンブル中毒や風俗中毒の場合、どうしてもお金が必要になるケースもあるが、地味に生活していくだけならわざわざ銀行口座を売るなんてリスクの高い行動はしなくて良い。
SNSで銀行口座を買い取る事例も
冒頭に述べたように、時代が変わっても相変わらず特殊詐欺は盛んだ。バリエーションも増えたが“銀行口座に振り込ませる”という部分は変わっていない。 また、暴力団に対する対応が厳しくなり、現役暴力団員は通帳やクレジットカードを作るのが困難になった。暴力団を辞めたあとも、5年間程度は口座を作れないという、とても厳しい社会的制裁もある。 暴力団を辞めても銀行口座を作れなければ、就職して生活を続けるのが非常に厳しくなる。令和4年には、警視庁が暴力団離脱者の口座開設支援をしているが、銀行の意志もあるのでそう簡単にはいかない。 ただ、仕事で会った現役暴力団員に話を聞くと、通帳やクレジットカードを普通に持っていると言っていた。 「蛇の道は蛇だから。なんとかなるよ」と笑っていた。具体的な方法は教えてもらえなかったが、「誰かに作らせたのを借りる」という手口があるのは想像に難くない。