月面ロボ「まいど2号」、万博経由宇宙行き ものづくりの街・東大阪で進む開発
ものづくりの街・大阪府東大阪市を中心に町工場が結集して開発し、平成21年に打ち上げに成功した小型人工衛星「まいど1号」。その夢の再来を願い「まいど2号」の開発が進められている。2号はロボットで、目指すのは月面。昨年12月に試作機が公開され、今後10年を視野に月面に送る構想を描いている。 【写真】展示イベントで公開された「まいど2号」の試作機=令和6年12月7日 大阪産業局ものづくりビジネスセンター大阪(MOBIO)が昨年12月7~8日にグランフロント大阪(大阪市北区)で開催した、2025年大阪・関西万博に出展を予定する府内の中小企業によるトライアル展示イベント。月面を跳躍しながら移動することを想定した、ある小型ロボットの試作機が注目を集めていた。 その名は「まいど2号」。展示したのは大阪府内の中小企業経営者らで構成する宇宙開発協同組合「SOHLA(ソーラ)」で、小型人工衛星「まいど1号」を作ったことでも知られる。 「まいど2号」はSMA(形状記憶合金)を素材に採用。足元はばね構造で、ピョンピョンと月面を跳びはねて移動しながら地面を撮影し、データを収集する。 「やっと形にするところまでたどり着いた」 SOHLA副理事長で、ロボットの金属加工などを担当する平安製作所(大阪府柏原市)の田中正人社長は安堵(あんど)の表情を浮かべた。ところが公開初日、機体の不具合で跳躍する姿を見せられない場面も。夢の実現へ、田中社長は「完成度を高めたい」と気を引き締めていた。 ■「月で何かさせたるねん!」 大阪の町工場の〝おっちゃん〟が宇宙への壮大な夢を熱く語るテレビCMで全国的な話題になり、景気の低迷で苦しむ中小企業を奮い立たせた「まいど1号」。 平成21年にJAXA(宇宙航空研究開発機構)のH2Aロケットで打ち上げられ、青い地球の姿の撮影に成功するなど、日本の中小企業が持つ高い技術力を見せつけたが、SOHLAの関係者が抱く夢は無限だった。 翌年、「今度は月でロボットに何かさせたるねん!」とプロジェクト第2弾が浮上した。 当初はヒト型ロボットを構想したが、JAXAの協力や複数の大学との共同研究を経て、月面を跳ねながら移動するタイプのロボットにたどり着いたという。府内の大企業の協力も受け、動力源にはカナデビア(旧日立造船)が開発中の全固体電池の提供を受ける。