じつはヘルシーじゃない“隠れ糖質”と“隠れ塩分”にご用心「おでんやかまぼこも食べすぎ注意」
糖類は朝昼しっかり夜は控えめ
日本人において米は主食だが、3食食べるのは糖質過多になりがちなのだとか。 「厚労省による日本人の食事摂取基準を見てみると、糖質の最低必要量は約100g/日と推定、と記載されています。ご飯にすると、お茶わん1杯で57.0gぐらいです。普通の食事をしている日本人なら、糖質がこれ以下ということはまず起こらない。 肉や葉物、それらを調味する調味量にも、糖質が含まれています。栄養士として指導していて、1食につき糖質10g以下になっている人はほとんどいません。それほど糖質は、知らないうちにとれてしまうものです」 さらに、ダイエットにおいては活動量が多い朝昼と、活動量が減る夜とでは、糖質のとり方を変え、朝昼はしっかり、夜は控えめを心がけたほうがよいという。 そして隠れ糖質以上にマズいのが、隠れ塩分。 「調味にみそやしょうゆが欠かせず、漬物や干し物がつきものの和食は、食材ベースで塩分が過剰になりがち。諸外国と比べても、日本人は塩分をとすぎであることがわかっています。 塩分をとりすぎると血圧が高くなり、排泄器官である腎臓にも負担がかかりますから、脳卒中や心臓疾患、腎臓障害といった命に関わる症状を引き起こすことになりかねません」 昨今の食生活の変化が、そんな塩分の摂取をさらに加速させている。 「鍋料理を作るにも鍋用調味料を使うことが増えていますし、ポン酢も市販品を使うのが当然になっていますよね。こうしたものは味を良くし、保存性を高めなければいけませんから、家庭で料理するよりも塩分過多になりがちです」
和食の隠れ塩分が動脈硬化を促進する
ちなみに厚労省の基準では、日本人の1日の塩分摂取量の目安は男性で7.5g未満、女性で6.5g未満。とはいえ、高血圧や慢性腎臓病(CKD)の重症化を防ぐためには、男女とも6g未満にすることが推奨されている。日本人の平均塩分摂取量は男性が10.5gで女性は9g。 「毎日の食生活から減塩を心がけてください。家庭で使われている調味料は隠れ塩分の巣窟です。食塩→しょうゆ→ポン酢しょうゆ→ソース→ドレッシング→ケチャップ→マヨネーズ→酢の順番で、“塩分多め”から“少”になっていきます。 日頃からこうした調味料を減らすことを心がけましょう。100円ショップで売っている、しょうゆを霧状に振りかけてくれる“しょうゆスプレー”を1本持っていると便利かも。塩味の物足りなさを補うには、香味野菜やスパイスを活用するといいですよ」 例えば人気メニューの豚のショウガ焼き。下味と調味にショウガをたっぷりと加え、仕上げに七味唐辛子をプラスすれば、しょうゆはぐっと少なくなり、おいしさもキープ。だしを強めにきかせたり、オリーブオイルの活用も減塩に効果的。 「オリーブオイルは血糖値も上げませんし、油分が満足感を上げてくれるので食べる量そのものを抑制してくれます」 では減塩タイプの調味料や加工食品は……? 「高血圧や腎障害などの症状が出ている人が活用するのはいいでしょう。ただし、塩分が少ないからといってかけすぎてしまったり、物足りず他の塩分の濃いものをとってしまうということも少なくない。やはり薄味に慣れ、素材そのものの味を味わうことが大切です」 ちなみにスナックフードなどでもしょっぱい味つけを好む人は、ストレス過剰の傾向があると麻生さん。 「副腎の機能が弱っている人も、しょっぱい味つけを好む傾向がありますね。副腎機能の回復にはビタミンとミネラルが欠かせません。ミネラル不足から塩分を好む傾向が出ているのかもしれませんから、野菜を多めにとるようにしてください」 和食に含まれる隠れ塩分を避けようと、食生活の洋食化を図ろうと思っても、ここにも隠れ塩分が跋扈(ばっこ)している。 「まずはパン。発酵を促進するのに塩分が欠かせません。一見ヘルシーに見えるシリアルやグラノーラも、意外なほど塩分が含まれています」 塩分が多いものといえばチーズやハム、ベーコン、練り物。保存性を高めるために、塩分を欠かすことができないからだ。