全員マスクでも見分ける方法はあるーーコロナ禍でも減らない需要、探偵業のいま
外出自粛、テレワーク推進が声高に叫ばれる中、不倫のカムフラージュに使われているのは、「架空の出社日」だ。 「テレワーク中の会社員が外出するためにつく嘘は、だいたい『出社日だから』。急な出勤、出張は怪しいですね。自営業など、実際はコロナ禍の影響を受けて仕事がなくなっていても、普段通り仕事のある体で出かける場合があります」 不倫は同じ職場内が多いーー菊地さんはそう指摘する。 「たとえばリモートワーク用にデイユースプランを出しているビジネスホテルでそれぞれ部屋を取り、別々の部屋で仕事をしていると見せかけ、実際は一部屋を使って会うことも。我々は、同じ部屋に入った瞬間の写真を、証拠として押さえます」 「ビジネスホテルの『テレワーク応援プラン』が『不倫応援プラン』として使われている」(山村) 以前なら、調査員たちが1週間ほど張って見極めていた「勝負日」(※業界用語で不倫カップルが会う日のこと)。依頼者からの「急に出社日と言って出かけた」といった情報で、証拠を押さえやすくなっているという。
普段は伏せられていた問題が顕在化する
また、パソコン上でのチャットやオンライン通話での「逢瀬」を目撃されるのも、最近の特徴だ。テレワークから生まれた「テレ不倫」「オンライン不倫」も夫婦の関係に決定的な亀裂を生むきっかけになることが増えている。 「テレワーク推進をきっかけに習得したZoomなどのオンライン会議用アプリで、彼氏・彼女とテレビ電話を楽しむ人が増えています。なかなか会えないけど、どうしても顔が見たい。書斎や車にこもるなど、いろいろ工夫しているようですが、現場や証拠を押さえられやすくなっています」(山村) 自宅でテレワークする最中にも相手とやり取りすべく、普段はスマホで使うLINEをパソコンに入れ、その画面を配偶者に見られてしまい不倫が発覚するケースも起きているという。 「こういう非常時に見られるのが、『いつ自分の人生が終わるか分からないから、本能のままに生きよう』と自分の欲望に従ってストレートに行動してしまう人。それまで二次元で我慢していた浮気願望を実現させようとする傾向があるんですよ。社会情勢が変化すると、普段は伏せられていた問題点が顕在化します。夫婦・人間関係の問題が浮き彫りになるのは、まさにこのコロナ禍の特徴でもありますね」(山村) 浮気調査に、所在確認。コロナ禍の下でも変わることなく、探偵たちは日夜ターゲットを追い続ける。