全員マスクでも見分ける方法はあるーーコロナ禍でも減らない需要、探偵業のいま
「パッと見た感じは完全にピザの配達員です(笑)。ピザの箱やバイク、水道工事車両に書かれた電話番号の部分にカメラを仕込んだりもします。証拠を確実に押さえるための創意工夫です。最近は巣ごもりで宅配も増えていますから、Uber Eats風に変装する準備もしています」
とはいえ、コロナ禍でみんなが一様にマスクをつけている。この制約下で対象者を特定するのは難しそうだが……。 「新型コロナが国内で本格的に流行し始めたのは2月くらいです。インフルエンザや花粉症でマスクをする人がそもそも多い状況でしたし、そこまで難しさは感じませんでした。見分けるポイントは、まず耳の形。髪の分け目や眉の形、歩き方のクセも判断基準。マスクをしていてもすぐにわかりますよ」 このほか、ホクロやあざの位置、目の間の距離、カバンの持ち方(ショルダーはほぼ同じ側にかける、手提げも基本的には同じ側で持つ)、服装やスマホのカバーの色、吸っているタバコの銘柄まで、依頼者からの情報や提供写真から複合的に判断するという。
「ただ、今回のマスクで一番の弊害は、相手の顔写真が撮りづらいところ。例えば夫の浮気調査なら、依頼者の奥さんはどうしても浮気相手の顔写真を欲しがるんですよ。そこが今、難しいですね」 緊急事態宣言の下でも、浮気調査の依頼はそれほど減っていないという。菊地さんは言う。 「外出は控えても、不倫自体を控えるわけではない。地方のラブホテルでは、いつもより盛況なところも多いくらいです。ただ、60歳以上の方々は感染への恐怖心が強いのか、会う回数を減らしている傾向があって、直接の調査はしづらくなっています」 浮気調査に精通する、リッツ横浜探偵社の山村佳子さんはこう話す。 「『コロナ離婚』という言葉も出ていますが、いつか別れたいと思っていた夫婦・カップルが、家の中で一緒に過ごす時間が増えてさらに溝を深め、離婚へのスピードが早まるケースが急増しています。ストレスが溜まって、そのはけ口を不倫相手への愛情に傾けるということはあると思います」