今年もISSが肉眼で見られる ── 滞在中の大西飛行士のミッションは?
私たちがISSを眺めている瞬間、宇宙飛行士は?
前述のとおり、昨年12月までISSに滞在していた油井飛行士は、日本上空を通過した時に私たちに向けて手を振ってくれていたそうです。
ISSは地上400キロ上空にあるため、油井飛行士からさすがに私たち一人ひとりの姿は確認できなかったでしょう。ですが、応援する人たちの思いを感じ取り、宇宙からそれに応えていたことに、ロマンを感じます。 大西飛行士が搭乗するISSを夜空に見上げるには、直近では、7月26~29日に好条件が続き、首都圏では7月26日20時40分頃、7月27日19時45分頃、7月29日19時35分頃がチャンスです。お仕事帰りなどでタイミングが合えば、ぜひ空を眺め、手を振ってみてはいかがでしょうか。(周りから“変な人”と思われないようにしてくださいね) ISSを「見る」もありますが、「知る」も楽しむポイントかもしれません。大西飛行士がISSの「きぼう」日本実験棟で行うことになっているミッションには、たくさんの実験があります。どれも、私たちの日々の暮らしに結びつくかもしれない実験です。
ISSでは今回どんな実験が行われるの?
今回、2つのミッションについてご紹介します。一つ目は「静電浮遊炉による材料実験」、二つ目はマウスを40日間、宇宙環境で飼育する「小動物飼育ミッション」です。
【静電浮遊炉による材料実験】
大西飛行士は大学時代、航空宇宙工学科で航空材料の実験をしていたこともあり、静電浮遊炉による材料実験に興味があり、楽しみにしていると話しています。
静電浮遊炉は、2000℃以上の高温でしか溶かすことができないセラミックや合金などの材料をレーザーの力で溶かし、熱で溶けた材料のふるまいや性質を精密に調べる装置です。 地上でも材料を溶かして、性質を調べることはできますが、材料を容器に入れる必要があります。容器に入れた材料を高温にすると、容器の素材物質が調べたいものに少なからず混ざってしまい、純粋に材料の性質を調べることが難しくなってしまうのです。そもそも2000℃や3000℃に耐えられる容器がないというのも問題の一つです。 ですが、ISSであれば、これらの問題を一気に解決できます。ISSの中は、ほとんど重力を感じない微小重力環境です。材料を容器に入れる必要はなく、浮かしながら溶かすことができます。