“推し活特化”の家具に需要はあるのか? 推し活社員が集結し“悩み”に徹底的に向き合い奮闘「推し家具シリーズ」が注目される理由
■中にグッズが満載とは思えないくらい、“シンプルかつオシャレ”なデザインに
もうひとつ、LOWYAならではのこだわりといえるのが、部屋全体との調和を考えたシンプルかつオシャレなデザインだ。前出の古賀さんは言う。 「弊社は収納だけでなく、ソファやベッド、照明やカーテン、雑貨など幅広い商品展開でトレンド感のある実用的な空間づくりを提案しています。その観点から、こだわりすぎて家具単体が浮いてしまわないよう、他のインテリアにも馴染むデザインにこだわりました。推し活をされている方の中には、『推しは拝みたいが、来客時は隠したい』という方も多くいらっしゃいますので、扉を締めれば、中にオタクグッズが満載とは思えないくらいシンプルでオシャレな収納家具に見えるのが特徴です」(古賀さん) シリーズ第1弾として発売されたのは、幅75cmの収納家具。その後、「もっと収納がほしい」という声を受け、幅120cmのワイドタイプを発売。推し活グッズは、推せば推すほど増えていくものだが、その点も考慮し、2つのタイプの収納棚は、横並びでも上下でも連結して使えるよう考えられている。 さらに、その後、プロジェクトメンバーのひとりからあがった「大量の同人誌をキレイに収納したい」という声によって、マンガや同人誌が好きなユーザーに向けた二次元特化型の収納棚も開発。同人誌を360冊も収納可能な可動式のワゴン収納に、鍵付きのスペースを装備し、「見せたくないものを見られることなく隠したい」や「オタバレは嫌」という悩みにも寄り添った設計となっている。 販売当初は「どういう反響があるかわからなかった」と不安もあったようだが、SNSには「わかっている!」といった共感の声が多数寄せられたという。
■リアルさを追求するため、仮想の推しキャラ「Arc2rus(呼称:アークトゥルス)」爆誕
さらに、商品ラインナップを組み合わせたコーディネート例を公式HPに300近く提案しているのも、LOWYAの特徴だ。オンライン通販をメインとするインテリアブランドだけに、そもそもLOWYAの公式HPは写真が豊富に掲載されているのだが、OSHITERUシリーズで目を引くのは、そこで使われている推しグッズの数々。なんと、オリジナルでキャラクターとグッズを作ってしまうほどの力の入れようなのだ。 「商品の使用感や魅力を伝えるためには、実際に、うちわや缶バッジ、ぬいぐるみやフィギュアなどグッズを飾ることがマストと考えました。ところが、既存の市販グッズを使うと版権の問題で商品の良さが正確に伝わりません。ならば自分たちで作ってしまおうと考えたのです」(関さん) こうして誕生したのがヨウ(赤)とルイ(青)というキャラクター。プロジェクトチームには様々な界隈のオタクが揃うだけに、実は、キャラデザイン会議はけっこう白熱したのだとか。 今年10月には、ホワイトのみだった収納家具に、お客様からの声に応えてブラックを追加、即完売という反響を得るなど、ますます注目されているLOWYAのOSHITERUシリーズ。今後の展開について江田さんはこう語る。 「消耗品と違って、“家具”は1年や2年で買い替えるものではないので、新しい商品を次々と世に送り出す性質のものではありません。ただ、SNSによるマーケティングを活用したり、日々お客様の声を拾い上げながら、界隈の皆さんの需要に合わせて、時流も見つつ、今後も既存商品をブラッシュアップするなど、より良い商品をお客様に提供できればと考えています」(江田さん) 「インテリアを自由気ままに」を企業ビジョンに掲げるLOWYAのこだわりが詰まった家具でオンリーワンの推し活ワールドを作る――推しファンの楽しみがまた増えそうだ。 取材・文:河上いつ子