“推し活特化”の家具に需要はあるのか? 推し活社員が集結し“悩み”に徹底的に向き合い奮闘「推し家具シリーズ」が注目される理由
年々、市場規模を伸ばしている“推し活”。そんな中でユーザーを悩ませるのが、推せば推すほど増える推しグッズ。グッズをいかに収納するかに苦心するユーザーも多い。そんな中、家具・インテリアブランドのLOWYA(ロウヤ)が、昨年11月より“徹底した推し活目線”で開発した収納家具OSHITERUシリーズの販売をスタート。SNSには「ありがたい」「待ってました」と喜びの声が溢れ、シリーズ累計販売数5000個を突破と大きな注目を集めている。上層部から「本当に売れるの?」という疑問の声が上がる中、社員の中から推し活に情熱を注ぐ様々な界隈の人材を集め、推し活のこだわりを結集したという同シリーズは、どんな経緯をたどって誕生したのか。 【画像】普通の家具とどう違う? 推し活社員たちがこだわりまくった「推し家具」中身
■通常家具でも代用可能、LOWYAが“推し活特化”に着目したワケ
推し活の楽しみのひとつはグッズを集めること。大切なコレクションを飾ったり、きれいに収納するために、多くの人はこれまで通常の家具を駆使して、自分流に部屋を推し色に染めてきた。LOWYAのOSHITERUシリーズのディレクション務めた関さんも、「弊社の既存の家具を推し活収納として使っているという方はかなりいらっしゃいました」と語る。 では、なぜ、推し活グッズの収納に特化した“推し家具”を開発しようと思ったのか。 「カスタマーサービスに携わり、お客様の声を耳にするとともに、自身も推し活をしている2人の社員からの提案によって、推し活を行っている人がグッズの収納のために本当に必要な機能を備えた家具を作ることができたらと考えたのが、この企画のスタートでした」(関さん) とはいえ、上司の反応はイマイチだった。執行役員の江田さんは当時を振り返りこう語る。 「推し活を知らなかったので、提案を受けても、“意外”のひと言で、本当に需要があるのか、まったくわかりませんでした。ただ、新しいことに挑戦するのは企業として必要なことですし、世の中にないものだけに、最悪売れなかったとしても、挑戦する価値はあると考えました。ですから、取り組むならしっかりプロジェクトを組んで、ニーズをきちんと導き出し、徹底的にこだわるよう伝えました」(江田さん) このような力強い後押しを受け、まず取り組んだのが、社内から様々なその道のプロ(オタク)を集め、声を収集することだった。 「推し活といっても、アイドルからアニメ、スポーツなどジャンルは様々です。“推し活に特化”と謳うためには、やはりすべての界隈の人たちが満足できる家具が理想と考え、できるだけ幅広いジャンルから、熱心に推し活をしている社員を集めました」(関さん) しかし、企画会議の当初はかなり紛糾したと関さんは苦笑する。 「皆さんに推し活グッズを持って来てもらったのですが、界隈によってグッズの種類もサイズも異なりますので、収納の悩みも様々で…。それぞれの界隈でありがちな悩みを聞きながらも、取捨選択が必要で、開発にはかなりの時間を要しました」(関さん) その奮闘ぶりが活かされているのが、扉の内側に設けられたハンガーフレームと、間隔や大きさを調整できる格子状の収納を配置した引き出しだ。ハンガーフレームは、タオルもかけられれば、うちわもかけられるよう配慮されている。引き出しは、ヘッドの形が異なる様々なペンライトや、日に当てないで大切に保管しておきたいポスターも収納できる設計となっている。 さらに、「グッズを飾る」より「推しを崇めたい」という人たちの思いに応えるべく、祭壇も装備。広報担当の古賀さんは言う。 「私も推し活をしているひとりなので、推しの誕生日に持っているグッズを飾り付けて写真を撮りたいのですが、年に1回のその日のために祭壇用のグッズを買い集めるのはけっこうハードルが高いものです。ですから、祭壇があるのはありがたいですよね」(古賀さん)