「女系」容認は多数派だが立憲民主党の微妙な事情 成城大教授・森暢平
◇社会学的皇室ウォッチング!/136 これでいいのか「旧宮家養子案」―第38弾― 前号で、自民党から当選の衆院議員の女性天皇・女系天皇への賛否分布を示した。今回は野党第1党の立憲民主党の状況を見てみよう。ほとんどの議員は女性天皇賛成である。しかし、「女系」天皇に対する賛成は51%と多数派であるものの、半数をわずかに超すという微妙な結果となった。立憲民主党が、「女系」容認に踏み切れない事情はどこにあるのだろうか。(一部敬称略) 前回と同じく、結果がインターネット上で公開されているNHKの候補者アンケートを用いて分析した。立憲民主党の今回の衆院選当選者は148人で、全員が回答している。 女性天皇に賛成は133人(90%)、回答なしは13人(9%)、反対が2人(1%)だった。世論調査の結果とほぼ一致した。一方、女性天皇の子が皇位を継承すること、つまり「女系」については、賛成が75人(51%)、回答なしが34人(23%)、反対が39人(26%)となった。こちらは、おおむね8割台の支持がある世論調査より賛成が少ない。 逆に、女性天皇も「女系」も反対とした議員は、長谷川嘉一(群馬3区)▽原口一博(佐賀1区)〔比例復活の場合でも出馬した選挙区名を挙げた。以下同じ〕。女性天皇の質問には答えず、「女系」に反対とした議員は、高松智之(東京28区)▽亀井亜紀子(島根1区)だった。2人が女性天皇に明確に答えを出さないところから考えると、実質的には女性天皇にも反対の気持ちが強いのだと推測される。 微妙なのは、女性天皇には賛成だが、「女系」には反対とした35人である。具体的には、荒井優(北海道3区)▽西川将人(同6区)▽階猛(岩手1区)▽緑川貴士(秋田2区)▽玄葉光一郎(福島2区)▽青山大人(茨城6区)▽藤岡隆雄(栃木4区)▽坂本祐之輔(埼玉10区)▽森田俊和(同12区)▽田嶋要(千葉1区)▽谷田川元(同10区)▽篠原豪(神奈川1区)▽山崎誠(同5区)▽江田憲司(同8区)▽笠浩史(同9区)▽太栄志(同13区)▽後藤祐一(同16区)▽宗野創(同18区)▽落合貴之(東京6区)▽五十嵐衣里(同30区)▽近藤和也(石川3区)▽今井雅人(岐阜4区)▽渡辺周(静岡6区)▽源馬謙太郎(同8区)▽牧義夫(愛知4区)▽岡本充功(同9区)▽重徳和彦(同12区)▽大西健介(同13区)▽森山浩行(大阪16区)▽井坂信彦(兵庫1区)▽津村啓介(岡山2区)▽佐藤公治(広島5区)▽稲富修二(福岡2区)▽城井崇(同10区)▽山田勝彦(長崎2区)―となる。