「女系」容認は多数派だが立憲民主党の微妙な事情 成城大教授・森暢平
立憲民主党は今年3月12日、皇位継承に関する論点整理を発表した。これを検討した「安定的な皇位継承に関する検討委員会」の委員5人のうち、女性天皇と「女系」に賛成すると明言するのは、吉田晴美(東京8区)ひとりだけだ。女性委員も吉田だけで、バランスが悪い。 さらに、「論点整理」は、その名のとおり、論点を整理しただけ。女性宮家案のうち、夫と子が皇族になる案、ならない案のメリット、デメリットを挙げたが、賛否は明言していない。党内のバラバラな意見に配慮し、党の方針は掲げていないのだ。 執行部では、代表の野田佳彦、幹事長の小川淳也、政調会長の重徳はいずれも女性天皇に賛成だ。だが、「女系」については、野田、小川が回答なし、重徳は反対だった。つまり、一般議員レベルでは「女系」を認めてよいという議員が多いのに、執行部レベルになるとそうした声が反映しにくい構造になっている。 立憲民主党内の「女系」派にもっと声を上げてもらいたい。 <サンデー毎日12月15-22日合併号(12月3日発売)より。以下次号> ■もり・ようへい 成城大文芸学部教授。1964年生まれ。博士。毎日新聞で皇室などを担当。CNN日本語サイト編集長、琉球新報米国駐在を経て、2017年から現職。著書に『天皇家の財布』(新潮新書)、『天皇家の恋愛』(中公新書)など