止まらない競輪のスピード化、2025年も「追い込み型受難」は続く!? 敏腕記者3名が考える“ブレイク必至の若手選手リスト”大公開!
白熱のKEIRINグランプリを終えて2024年が幕を閉じ、新年を迎えた競輪界。2025年は、スピード化にいっそう拍車がかかるのか? ブレイクする選手は!? 日ごろ選手を間近で取材する敏腕競輪記者3名が、2025年の競輪シーンを占う(文中敬称略)。(取材日:2024年12月6日)
2025年もスピードレース化は進む
デイリースポーツ・松本直記者(以下松本) 2024年は追い込み型の選手が受難の年だったということですが、確かに純粋な追い込み選手はグランプリメンバーに1人もいませんでしたね。 東京スポーツ・前田睦生記者(以下前田) 現在の競輪のルールを象徴していますよね。ルールが変わって、誘導員の退避位置とペースが変わりました。新山響平を筆頭に自力型が800メートル頑張ってしまえるから、追い込み選手たちの出番が少なくなってしまっているんです。 日刊スポーツ・松井律記者(以下松井) 競輪予想も「付いていけるか離れるか」の部分が大きくなってきたね。 松本 前田君や僕が記者を始めた頃は、こんなに自力選手が多くなかったし、S級トップレベルのレースで自力が並ぶこともあんまりなかったからね。 前田 とにかく本命印の二重マルは番手選手だったんです。で、先行選手に〇を付けられるかどうか。先行選手を残せる番手選手はやっぱり格が高いというか、強いしうまい、というイメージでした。今は、何かあったら番手選手がすぐに離れてしまうぐらい、自力選手にスピードがありますよね。 松本 やっぱり脇本雄太が、競輪を変えたのかな。 前田 そう思います。脇本のトップスピードに勝つために、自力選手たちもトップスピードをつける争いがメインになっていったんでしょうね。ブロックしても、届かないですから。 松井 以前はご法度だった「カンナ削り」がよく見られるようになってきて。 松本 昔の競輪は、先行選手がいて、番手選手がいて、3番手がいて。「番手選手が止めるか止めないか」が車券を買うときの焦点だった気がするけど、最近は自力-自力で並ぶことが多くなった。脇本や新山の前を回るために、若い選手たちはさらに自力で頑張らなきゃいけない。なので、どうしても先行で引っ張ってラインに貢献するというレースが多くなってきたように思います。 前田 ワッキーや新山は、400メートルでも800メートルでも、自分が勝負できるところで勝負する。そこに集中できているから、スピード化する競輪には向いているタイプですよね。 松本 今はタテ脚やスピード勝負の競輪になっています。 前田 昔の競輪の方が、自転車を操るという技術に関してはレベルが高かったように思います。松井さんは今よりもっとテクニックを競っていた時代の競輪を知っているわけですが。 松井 先行も追い込みも、それぞれテクニックはあるよね。ペースで踏んだりやめたりして後ろを酔わせてしまうとか、時速60キロで走りながらヨコで競るとか。そこが競輪の面白さであり、確かに最近はそういうテクニックが登場しづらい傾向になってはいる。だけど、まだまだ魅せてくれる選手はいるよね。 松本 それは誰ですか。 松井 追い込み選手なら佐藤慎太郎や小倉竜二。A級にも多いよね、レースがスローペースだからヨコの勝負ができる。ミッドナイトの1レースからジカ競りが展開されるとワクワクするし、トップのレースとは違う楽しみ方ができる。