【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算
箱根駅伝は3日、復路(5区間=109.6キロ)を行い、青学大が2年連続8度目の総合優勝を果たした。 【写真】ドルーリー朱瑛里に海外流出を危惧する声…弁護士を通じ異例の要請 前日の往路を制した青学は6区の野村が区間新記録をマークするなど、危なげなくたすきをつないで10時間41分19秒の大会新記録でゴールした。 2015年の初優勝から11年間で8度目の頂点に導いた原晋監督は、監督別勝利数で最多タイ。大学駅伝を代表する選手層の厚さはもちろん、百戦錬磨の指揮官の経験値がやはり大きかった。 駅伝に詳しいスポーツライターの折山淑美氏がこう言う。 「終始、落ち着いたレース運びは原監督の指導によるものでしょう。首位と1分44秒差をつけられてたすきを受けた2区の黒田はハイペースに食らいついて49秒差でつなぎ、2分24秒差で受けた4区の太田は45秒差で山登りを得意とする若林につないで逆転を託した。山を走る5、6区で区間新をマークするなど、勝負の分かれ目となるコースできっちりと結果を残し、最後まで不安を感じさせませんでした。今回の青学は選手の配置、ピーキング、モチベーションの維持も含めて全てにおいてミスがありませんでした。日頃のロードワーク、トレーニングに裏打ちされた自信を持って大会に臨めたことも勝因のひとつと言えるでしょう」 原監督がレース後、「私もいろいろな研究をし、学問的なことにも取り組んで、原メソッドというものを作り上げた」と自画自賛したのは当然か。
国学院には山のスペシャリストが不在
一方、出雲、全日本に続く史上6校目の大学3冠を狙った国学院大は総合3位に終わり、初Vを逃した。昨年2月の大阪マラソンで初マラソン日本最高記録、学生記録を更新する2時間6分18秒で優勝したエースの平林が2区で、東京国際大の“最強助っ人”エティーリの12人抜きの快走にリズムを崩された。トップと1分7秒差の区間8位に甘んじる誤算が響いたが、最大の敗因は「山」を克服できなかったことだ。昨年12月28日付の本紙で元早大監督の渡辺康幸氏(現住友電工監督)が「(国学院に関して)もうひとつ気になるのは『山のスペシャリスト』はいません」と指摘した通り、5区の高山が山登りで区間14位。同1位だった青学の若林に3分47秒差と力の差を見せつけられた。 「出雲、全日本を制しているだけに、実力のあるチームではありますが、青学や駒大と比べて箱根での経験の少なさがアダとなった。山のスペシャリストを配置できず、登り下りとも大差をつけられたことが致命的でした」(前出の折山氏) 初Vと3冠を逃した裏では大きな誤算が生じていたという。 現地で取材したスポーツライターの和田悟志氏がこう言った。 「6区を予定していた選手が故障で走れなくなり、前田康弘監督は走者の大幅な変更を余儀なくされたのです。選手たちは口にしませんでしたが、予定していたオーダーを組めなかったことで、メンバーの間に動揺が広がり、普段の力を発揮できなかった選手もいました。ベストの布陣で臨めなかったことが響いたのでしょう」 優勝候補筆頭格だった国学院は青学と箱根の山にはね返されたと言えそうだ。