「死にたい気持ちを受け止める」今年で44周年の大阪自殺防止センター #今つらいあなたへ
生きるのがつらくなるほどの苦しみを抱えたときに、誰かに胸の内を打ち明けたい━━。そんなときに、電話などで相談できる自治体や民間団体の窓口は全国各地にあります。そのうちの1つで、年間約5000件の電話相談を行うという認定NPO法人国際ビフレンダーズ大阪自殺防止センター(大阪市中央区)は、相談者の「死にたい気持ち」を否定せず、それを受け止める対応を心がけてきました。1978年の活動開始から今月20日で44周年を迎える同センターの電話相談の実際について、理事長の北條達人さん(35)に話をうかがいました。
「自殺の問い」が特徴
大阪市内を東西に走る長堀通沿いにあるビルの一室が、同センターの事務所です。室内には、理事長のデスクや応接スペースの他、電話相談のためのブースが複数設置されていました。 電話相談は、北條さんを含む約40人の相談員が担います。受付時間は、毎週金曜日の午後1時から日曜日の午後10時まで。現在の相談員数では毎日行うのが難しいため、公的機関の相談が手薄になる週末に限定して活動しているそうです。
着信件数は新型コロナ感染拡大前より約2割増
2021年の着信件数は約10万件。コロナ禍の影響か、感染拡大前の2019年よりも約2割増えたそうです。 着信件数のうち、対応できたのは約5000件と全体の5%ほど。北條さんは、現状の相談員数では多くても月500~600件の対応が限度と見ています。 同センターの特徴は、相談員の方から「死にたいと思っておられませんか?」といった具体的な言葉で自殺の意思を確認する「自殺の問い」を行う点にあります。北條さんは「このセンターは、死にたい気持ちを正直に語れる場所ですので、誰に対しても必ず自殺の意思を問うようにしています」と語ります。 その際は、相談者の「死にたい気持ち」を否定せず、受け止めます。「相談者が『死にたい』と訴える時は、自殺を肯定してほしいのではなく、むしろそう考えるくらい苦しんでいることを分かってほしいんです。私たちは、その気持ちを真正面から受け止めます。逆に、否定してしまうと、相談者は『ああ、自分の苦しさをわかってくれないんだな』と感じて、相談したくなくなっちゃうんです」(北條さん)