「Qアノン」専門家のロスチャイルドさん、2025年はどんな「陰謀論」が流行りそうですか?
さまざまな陰謀論が渦巻いた2024年の米国大統領選で勝利したドナルド・トランプが、ふたたび政権を握る2025年──。陰謀論はどこへ向かうのか。2021年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件に深く関与した「Qアノン」陰謀論の専門家であり、反ユダヤ主義的な陰謀論についても著作がある米国人ジャーナリストのマイク・ロスチャイルドに聞く。 【画像】米連邦議会議事堂襲撃事件の象徴的な人物「Qアノン・シャーマン」 ──2025年にはどんな類いの陰謀論が盛り上がりを見せそうでしょうか。ことに、米国では第2次トランプ政権が始まるわけですから、陰謀論もずいぶん話の筋が変わりそうですよね? ドナルド・トランプが勝利すると予見できていたら、私はいまごろもっと金持ちになっているでしょうね(笑)。 トランプが引き続き、諸々の陰謀論の主たるけん引役になるだろうとは考えています。そしてもちろん、トランプがイーロン・マスクと連携し、ロバート・ケネディ・ジュニア(ワクチン懐疑派として知られる)が厚生長官になるわけですから、陰謀論全般がものすごく推進されるでしょう。 とはいえ、こうした協力関係がどれだけ長く続くかは不明です。トランプとマスクの関係があっという間に悪化したとしても驚きはしないでしょう。 いずれにせよ、これから続々と出てくる陰謀論は、民主党がトランプの計画を阻止しようとしているとか、大手製薬会社やワクチン業界がケネディを止めようとしているといったものになるだろうとは思います。 実際に起こってみなければわからないこともありますが、民主党がやっていることについてのデマはたくさん出回るでしょうし、その他、フェイクニュースやねつ造された発言、AIが生成したネタなども多く出てくるでしょう。とにかく、非常に醜悪な事態にはなると思います。 ──それは大統領選で民主党が勝っていた場合よりひどいのでしょうか? それともましなのでしょうか? 民主党が勝っていた場合と異なるとは言えるでしょう。陰謀論を信奉するのは大部分が、権力の座にいない側です。ですから、大々的な陰謀論コンテンツのクリエイターは、これまで陰謀論をたくさん発信しやすかった。トランプに権力がなく、民主党が政権を握っていたからです。 トランプが大統領選で圧勝し、権力の座に返り咲くとなれば、人々は陰謀論に興奮しにくくなります。それでも、ほどなくトランプが公約した多くのことを果たせないとなると、その失態から陰謀論が派生してくるだろうと思います。 左派からの陰謀論もすでに出てきてはいます。トランプが汚いやり方で選挙に勝ったとか、「スターリンク」(イーロン・マスクの「スペースX」が手がける衛星通信)が大統領選の投票を操作したとか……。こうした陰謀論が長続きしないことを願ってはいます。 ──「1月6日」(トランプ支持者の群団による米連邦議会議事堂襲撃事件)は2025年にはもう起こらないと思いますか? そっくりそのままの事件は、今回は起こらないと思います。というか、起こらないことを願います。あのときとは違った状況ですからね。
COURRiER Japon