「第1のバリア」を解決、税制改正要望を提出:JBA──重要ポイントをJBA税制分科会長に聞く【インタビュー】
3.暗号資産を寄附した際の税制の整備
以下を通達やガイドライン等において公表し明確化すること。• 個人が暗号資産を寄附した場合、所得税法上の寄附金控除の適用対象となりうること。• 法人が暗号資産を寄附した場合には特別損金算入限度額までの損金算入の対象になりうること。また、個人が暗号資産を寄附した場合、その含み益に対して租税特別措置法40条における現物寄附のみなし譲渡所得税等の非課税特例と同様、非課税とすること。
4.特定譲渡制限付暗号資産の今後の見直しの継続検討
2024年4月1日の改正法人税法の施行で特定譲渡制限付暗号資産が導入され期末時価評価の問題が大きく前進したが、「譲渡制限の付与」や「対象となる暗号資産の制限」、「暗号資産交換業者への通知」といった条件を満たすことは、オペレーション上の障壁が高く、制度の活用を躊躇うケースもある。特定譲渡制限付暗号資産の活用状況や将来の環境変化を踏まえ、今後、各種の条件なしに期末時価評価課税の対象外とすることを継続検討すること。
「2年連続で実現」の気運を活かして
JBA税制分科会長フィナンシェ 会計税務責任者岩崎宏太氏 ──今回、最も力を置いているものは何か。 要望の順番が優先順位になっている。一昨年度に自社発行(保有)の暗号資産、昨年度に第三者保有の暗号資産と、期末時価評価課税の問題解決が実現した。この数年、まずは自社保有の問題に最優先で取り組み、第三者保有分についての改正は、少し時間がかかるのではないかと考えていた。だが、行政の理解と協力を得ることができ、2年連続で大きく進んだ。これはWeb3業界が、日本経済に大きく貢献できると認識され始めている証と考えている。 ──法人税の改正が進み、次はいよいよ「個人」というわけだが、個人の所得税の改正は影響も大きく、ハードルが高いとの声もある。実現可能性をどう考えているか。 サービスを提供する法人側の税制改正はある程度実現したが、一方でサービスを利用するユーザーの所得税の税制では、依然として最大55%の税率が課されており、暗号資産の保有、Web3マスアダプションに向けた第1のバリアとなっている。 もちろんハードルは高いと考えているが、我々の予想を超えて、2年連続で法人税の税制改正が実現した気運に乗って、個人の所得税に関する税制改正を実現できれば、さらに業界やWeb3を取り巻く気運が高まり、注目度が高まると考えている。JBAとしては今年度、大いに期待している。