自然災害による被害や地下鉄民営化など 2018年の鉄道を振り返る
JR三江線の廃止
今年は全国的に、鉄道の廃線はほとんどありませんでした。そんななか、3月31日にはJR三江線が営業を終了。営業キロが100kmを越える大規模な路線がなくなるとあって、全国から鉄道ファンが押し寄せ、別れを惜しみました。1日の列車本数が上下とも10本に満たないローカル線でしたが、JR西日本はこれら鉄道ファンの利便性を考慮して、廃止2週間前に直通列車を増やすという異例の対応を行っています。
黒部トンネルで運行しているトロリーバス廃線
また、11月末にはちょっと変わった“廃線”がありました。関西電力が黒部トンネルで運行しているトロリーバスがそれ。トロリーバスとは、架線からの電力を受け取って走る電気バスで、法律上は「無軌条電車」と呼ぶように鉄道の一種なのです。 トンネル内を走ることからこの方式が採用されてきましたが、2019年にバッテリーで走る電気バスへ更新されることになり、鉄道路線としては“廃線”されました。ちなみに、この路線は電力会社が運営する日本唯一の鉄道路線でもありました。今後は、同じく立山黒部アルペンルートを形成する「立山トンネルトロリーバス」が、日本唯一のトロリーバスとして運行を続けます。
「昼間特割きっぷ」や「スルッとKANSAI」の利用終了
さて、京阪神に住む人たちにとって地味に“痛い”のが、JR西日本が販売していた「昼間特割きっぷ」の廃止です。国鉄時代に、競合する私鉄との運賃差を埋めるために発売されたもので、例えば大阪~京都間は通常運賃が560円のところ、「昼間特割きっぷ」だと1回あたり350円と格安になることから、多くの人たちが利用していました。 一方で、金券ショップではこの回数券を1枚単位でバラ売りされているなど、本来の趣旨にそぐわない利用も多く見られました。 JR西日本では、「昼間特割きっぷ」の廃止に合わせて「ICOCAポイントサービス」をスタート。利用回数に応じてポイントが貯まり、ICOCAのチャージに利用できるというものです。同時に、PiTaPaによるポストペイサービスも開始し、PiTaPa利用者には利用金額からポイント分を割り引く形で同様のサービスが受けられるようになりました。とはいえ、割引の適用条件は「昼間特割きっぷ」より厳しくなっており、利用者からは不満の声も聞かれます。 さらに、関西私鉄で広く浸透していた「スルッとKANSAI」カードは1月に自動改札機などでの共通利用が終了しました。今後も一部の鉄道会社では使用でき、また使用を終了した鉄道会社では残額があるカードの払い戻しを受け付けています。 ただし、払い戻しには期限がある(現時点では「2018年1月の使用終了時点から5年程度」とアナウンスされています)ため、早めに対応するのが良いでしょう。この機会に、引き出しの奥にしまい込んだ未使用カードがないか、確認してみては?