日銀・黒田総裁会見1月18日(全文2)2%に向けて徐々に物価が上昇する形に
コストプッシュ型インフレの悪影響が出たら、どう対応する?
朝日新聞:朝日新聞の津阪です。先ほど総裁、物価上昇が家計の所得環境やマインドに悪影響を及ぼさないか注視していく必要があるというふうにおっしゃいました。仮定の質問で恐縮なんですけれども、コストプッシュ型のインフレが一時的ではなく家計に悪影響を及ぼすことが確認された場合、日銀としてどういった対応を取る余地があるのか、お聞かせいただけますでしょうか。 黒田:これは国際的な、いわば、なんて言うんでしょうか、金融政策についてのコンセンサスっていうか、そういうものがあると思うんですけども、これはかつての第二次石油ショック以来、一次産品価格が急上昇した場合に、それ自体を全部止めるような金融引き締めっていうのは適切でないので。ただ、それが二次的にその他の品目、さらには賃金の上昇につながって、それがインフレ率を持続的に高めていくという懸念があることは防止する必要があるけども、資源価格、商品価格の一時的な上昇を金融政策で止めるというのは適切でないということでありますので、一時的な資源価格の上昇が、それでも2%を超えるような上昇になるとは思いませんけれども、一時的な資源価格、商品価格の上昇によって物価が一時的に上がっても、それに対応して金融政策を発動して金融引き締めを行うというようなことはまったく考えておりません。 あくまでも賃金・物価がいわば好循環の中で持続的に、また広がりを持って物価が上がっていくという状況を目指しておるわけでして、そういった意味で2%が持続的に達成されるという状況になれば当然、金融政策の正常化、出口の議論になると思いますけども、今のところそういった状況はまったく想定されないということであります。
2%目標が安定的に達成されることが目標
Market News International:すいません、Market Newsの【イノウエ 00:43:04】と申します。先ほど総裁が言われていた政策のフォワードガイダンスのところで、政策金利については現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準で推移することを想定されているということですけど、これは2019年の10月からずっと使われているんですけども、先ほど冒頭で言われていたリスクバランスのところで、当面やっぱり経済に関しては下振れリスクが大きいということですけども、こことの関係をちょっとお伺いしたいんですけども。というのは、経済の下振れリスクがバランスすれば現状の政策金利を下回る水準で推移することの必要性がなくなるのかどうなのかっていうことをお伺いしたいんです。よろしくお願いします。 黒田:そういうことではないと思います。あくまでも金融政策につきましては、2%の物価安定目標が安定的に達成されるということが目標でありますので、その過程で当然、経済の動向がどうなのかと、経済のリスクが上下にどのように分布しているかということは、物価の動向を測る上では重要な要素ではあるんですけども、経済の見通しのリスクバランスが上下バランスするかとかしないかによって金融政策自体が変わるということはありません。