日銀・黒田総裁会見1月18日(全文2)2%に向けて徐々に物価が上昇する形に
量の面での金融政策運営をどう整理しているのか
日本経済新聞:日本経済新聞の後藤です。2%の物価目標の導入から丸9年を迎えるので、ちょっと長い目で見た政策運営の考え方についてお聞かせください。総裁の就任当初、物価目標達成のためにマネタリーベース、つまり量の急拡大を前面に打ち出されました。2016年には金融調節の方針を量から金利に変更したものの、枠組みとしては量的緩和を続けています。9年近くたっても物価が鈍いということは、この量の緩和というのは、物価に与える効果は当初期待したほどのものではなかったという解釈でよろしいでしょうか。 それに関連してもう1点ですけれども、短期国債を含めた国債の保有残高、こちらは昨年2021年に年間で減少しました。それからマネタリーベースもコロナ対応の資金繰り支援策の修正に伴って、一時要因であるとはいえ、今年は減少する可能性があるかと思います。先ほど質問しました量の拡大が物価に与える効果に対するお答えも踏まえて、量の面での金融政策運営を今どのように整理していらっしゃるかお聞かせください。よろしくお願いします。 黒田:量的・質的金融緩和を2013年の4月に導入して以来、ここに、量的・質的とも言っているように、量も質、金利も十分考慮しながらやってきたわけですけども、ご指摘のように、当初は2年程度を目途に大幅な金融緩和をするということだったわけですが、その後、さまざまな状況の下で2年程度というのは落としてまして、できるだけ早期に2%の物価目標を達成するという2013年1月の政府との共同声明、あるいは1月の金融政策決定会合におけるコミットメントを維持して行ってきております。
量と質は裏表のような関係
量か質かっていうか、量か金利かっていうのは、量っていっても実際上は金利を通じて経済に影響が出るわけですので、そうしたことを踏まえて現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和、イールドカーブ・コントロールというものにして現在に至っているわけであります。 そういう意味で量か質かっていっても実際は裏表のような関係で、量を無視するっていうことではないわけですし、それからフォワードガイダンスでも、一方で長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続すると言うとともに、マネタリーベースについて消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的2%を超えるまで拡大方針を継続するということも言っておりまして、何か量を無視してっていうことではなくて、量と質、量と金利と両方考えてはいるんですけれども、先ほどに申し上げたように金融政策の影響のチャネルとしては、基本的には金利を通じて経済活動に影響を与えていくっていうことはそのとおりだと思うんですけども、量について一定の、なんて言うんでしょうか、コミットメントを示すという意味もあろうかと思いますので、現在のフォワードガイダンスっていうのはマネタリーベースについてこういったことを述べておるわけで。ただ、これはあくまでも拡大方針ってことで、短期的にご指摘のような振れたり一時的にマイナスになったりすることがあったとしても、基本的にマネタリーベースの拡大方針っていうものを続けるということのコミットメントの意味は大きいのではないかというふうに思っております。