「スマホを開けたら読書」…書評家・三宅香帆の「読書習慣」の作り方
「運が良い人」の秘密は「習慣」にあった ――第一線で活躍する各界の著名人たちが、実践してきた「とっておき」を明かす。 【一覧】占星術研究家・鏡リュウジが「12星座別の運気」を徹底解説! 三宅香帆(書評家)/'94年生まれ。高知県出身。京都市立芸術大学非常勤講師。'24年、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』にて、「第2回書店員が選ぶノンフィクション大賞2024」を受賞した
起きたらすぐに『スマホで読書』
毎日のように書評や本の考察、紹介などの原稿を書いているので、その分、たくさんの本を読まなくてはなりません。書評家をしているくらいだから、本をサラッと読んでいると思われがちですが、テレビやYouTubeなど様々な誘惑に負けてしまうときだってあります。 そんな私は、毎朝起きた瞬間にスマホで「Kindle」などの電子書籍リーダーを開くことを、習慣にしています。朝はついSNSをだらだら眺めてしまいがちなので、「スマホを開けたらKindle」を体に染み込ませているのです。 「スマホばかり見ていると時間を無駄にする」なんて言葉をよく耳にしますが、使い方次第では、立派な読書ツールになってくれます。たとえば、電車に乗っている時、お風呂に入っている時、ドライヤーで髪を乾かしている時にも、私はスマホで読書をしているのです。基本的に本は紙で読むのが好きですが、1日のいたるところに「スマホ読書」の時間を忍ばせて、読書のリズムをつかんでいます。
SNSを駆使して気軽な読書体験を
私は1日1冊のペースで本を読みますが、最近、本が読めないと悩む人が多いようです。社会人が本を読めなくなる現象を労働史の観点から論じた『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)を出した時は、多くの読者から共感の声が寄せられました。 きっと多くの方が、全身全霊で仕事をするようになって、本を読む余裕がなくなったのでしょう。仕事も読書も気軽に捉えていい気がします。 最近は、Xだけでなく、TikTokなどの動画系SNSでも、短い文学作品を読むことができます。そこで読書が楽しいと思ったら、時々、小説を読んでみるくらいの心持ちでいいのではないでしょうか。 「週刊現代」2024年12月28・2025年1月4日号より
週刊現代、三宅香帆