TG戦の勝敗を分けたコリジョンルールの適用は正しかったのか?
伝統の阪神ー巨人戦でコリジョンルールが勝敗を分けた。11日の甲子園。0-1で迎えた3回二死二塁で、阪神の先発メッセンジャーは、脇谷にセンター前ヒットを許す。二塁走者の小林はホームへ足から滑り込んだが、大和からのワンバウンド送球をキャッチした原口がホームの手前でタッチして、球審はアウトを宣告した。 原口はベンチへ戻り、守備陣も戻ってきたが、巨人の高橋監督が抗議。ビデオ判定となり、責任審判はマイクを持ち場内に「リプレー映像の検証の結果、コリジョンを適用してセーフとします」と説明した。原口が走路妨害を取られたのだ。コリジョンルールの適用で判定が覆るのは、セ・リーグでは今季初。今度は、金本監督が猛抗議、納得がいかず両手をあげてベンチへ帰った。場内も騒然となった。 映像を見ると、原口が一瞬、ホームベースを跨いでからバウンドを合わせるために下がってタッチにいっている。審判団が走路妨害と指摘するのは、タッチプレーの前にいた原口の位置だ。 実は審判団が春季キャンプ中に、各球団を回ってコリジョンルールのガイドラインを伝えたが、キャッチャーは、走路を空けて、ベースの前に両足で立って返球を待つことが基本であると確認されていた。筆者は、何度かその現場に立ち会ったが、ベースの後ろに立ち、体ごとタッチにいくことを認めず、ホームベースを跨いで待つことがあれば、ブロックとみなすことなどがこと細かく伝えられていた。 つまり、最初にベースの前に立ってさえいれば、それたボールを捕球するために動くことは許されているのだが、ボールを待つ間のポジションが間違っていれば、走路妨害とみなされるのである。 これらは、文書化されていないオリエンテーションであったが、このガイドラインに従うと、原口のプレーは、コリジョンルールに抵触している。ただ、それらのポジションもまさに一瞬で、微妙な判断に対して阪神は、NPBへ意見書を提出することを決めた。 現役時代にホームベースを守ってきた元千葉ロッテの里崎智也氏も、「コリジョンルールに対応するための基本は、バックホームされたバウンドにキャッチャーが合わせるのではなく、投げる方がバウンドを合わせなければならない。ホームベース前に立って、追いタッチすることが基本になっているわけだから、大和がそれを想定した場所に送球しなければならなかった。コリジョンルールへの対応は、もはやキャッチングよりも、送球にあると思う」と言う。