黒星病を抑えれば、バラの病気や害虫はほぼ防除が可能
バラ栽培のハードルを高めている大きな要因が病害虫ではないでしょうか。なかでも最も注意したい病気が黒星病です。『趣味の園芸』で連載中の「姫野流 つるバラを楽しむ12章」、第3回のテーマは「黒星病からバラを守る」。6月号より、一部抜粋してお届けします。 黒星病の写真
黒星病を知る
黒星病はバラを栽培するうえで、最も防除が難しいといわれる病気です。初めに原因と症状、バラ栽培で特に留意が必要な理由をご説明します。 黒星病は、病原菌(糸状菌と呼ばれるカビの一種)によって引き起こされます。発生は雨と密接な関係があり、降雨による雨水のはね返りで病原菌が飛散し、株の下のほうの葉に付着し、2週間程度の潜伏期間を経て黒い斑点(病斑)が現れます。葉がぬれている状態が7時間以上続くと糸状菌の感染、病気の発生につながると考えられており、雨が多く湿潤な日本の家庭の戸外での栽培は、黒星病が発生しやすい環境であるといえます。実際、雨のかからないハウス栽培などでは、黒星病の発生はほとんど見られません。 斑点が発生した葉は早めに取り除いて確実に廃棄し、新たな葉の発生を促すようにします。症状が進むと病葉は黄変し、やがて落葉してしまいます。植物は葉を落とすと、光合成をして養分をつくることができません。黒星病の防除はバラの葉を守り、株の体力を落とさないために必要です。 一方、ほかの病気や害虫は、黒星病対策と同時におおむね防除が可能となります。6月号では、効果的な防除法について詳しくお伝えします。 花後の梅雨どきは大事なバラにさまざまな病害虫が発生します。今月はバラ栽培に欠かせない黒星病対策を覚えていただき、バラの健やかな成長を心がけていただけましたら幸いです。 連載「姫野流 つるバラを楽しむ12章」(2024年4月号~) 八ヶ岳でバラ農場を営む姫野由紀さんが、1年間の連載でつるバラの基礎知識、広さや高さに合った品種の選び方、美しく咲かせる栽培のコツ、思いどおりの風景をつくる仕立て方などをお伝えしていきます。 姫野由紀(ひめの・ゆき) バラ栽培家 1972年、兵庫県生まれ。10歳からバラ栽培を始める。一般企業勤務を経て故村田晴夫氏のばら園のスタッフに。2012年より八ヶ岳の農場を引き継ぎ、約1000品種のバラの苗木の生産・販売、品種選びや栽培管理のアドバイスを行う。つるバラやオールドローズをはじめ古花、名花にも造詣が深い。 ●『趣味の園芸』2024年6月号 姫野流 つるバラを楽しむ12章「第三章 黒星病からバラを守る」より