金利変動に備えるには? プロが解説する「不動産投資のメリット・デメリット」
不動産投資に興味はあるけれど、投資金額も大きいし、不安でなかなか一歩が踏み出せない──そんな人も多いだろう。『THE21』2024年9月号では、まずはほかの投資とは異なる不動産投資ならではのポイントを学ぶべく、100億円を超える資産を運用中の個人投資家・玉川陽介氏に、不動産投資初心者が抱きがちな疑問をぶつけてみた。 不動産投資の成功率を左右する指標の意味 ※本稿は、『THE21』2024年9月号特集「老後のお金『これで安心!』講座」より、内容を一部抜粋・編集したものです。 ※本稿は2024年8月時点の情報に基づき、投資に対する著者の考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行なうようお願いいたします。
ほかの投資と比べて自己資金比の利回り(ROE)が高い
Q1.不動産投資ならではのメリットやデメリットには、どんなものがありますか? A.証券投資と比べると、4つのメリットが挙げられます。 ①銀行借入により高いレバレッジをかけられること。そのため、多くの場合、ほかの投資と比べて自己資金比の利回り(ROE)が高い(効率良く利益を得られる) ②ハイレバレッジにもかかわらず、物件価格が下落してもロスカット(=損切り。FX取引で一定水準以上の損失が発生した場合に強制的に決済する仕組み)されることがなく、持ち続けられるという特殊性があること。そのため、購入後に物件価格が下落しても、賃料による安定収益を得ることができ、慌てる必要がない ③不動産を保有していると、相続、税金、借入が有利になること。社会システム上の優遇があると言える ④インカムゲイン(資産を保有していることで継続的に得られる収入)投資の側面も強いので、収益シミュレーションをきちんと行なえば、将来の収益を見通しやすいこと また、金利が急騰しない限り、賃料収入によるインカムゲインと、物件価格上昇によるキャピタルゲイン(保有している資産を売ったときの売却益)の両方が狙えてインフレにも強い、というオールマイティな面もあります。 一方のデメリットとしては、自営業的なスキルが求められることが挙げられます。税務申告、金融機関や不動産業者とのつきあい、法規制や業界慣習、複雑な書類の理解、購入後の賃貸管理などが必要になるため、あまりにも忙しい人や業者とのやり取りが苦手な人には厳しい面があるでしょう。 賃貸管理は管理会社に委託することもできますが、何から何まで人任せにすると、管理が最適にならず、空室や修繕で苦戦することになります。相続で不動産を取得した人が失敗するのは、だいたいこのパターンです。