金利変動に備えるには? プロが解説する「不動産投資のメリット・デメリット」
Q2.不動産投資には、どのような戦略がありますか?その中で「会社員×初心者」にお勧めの戦略はどれですか? A.不動産投資には、3種類の戦略があります。1つ目はコア型。駅前の商業ビルや都心の花形物件に投資し、子孫にも相続していくものです。低利回りですが、金塊の購入などに近く、長期に渡って普遍的な資産価値を維持できます。 2つ目はコアプラス型。一等地を避けて、二等地以下のマンションなどに投資するものです。物件に派手さがなく面白みは少ないのですが、保有するだけでも相応の利回りが得られるため、インカムゲインと将来的なキャピタルゲインの両方を見込むことができます。 3つ目は業者型。リノベーション、テナントとの賃料交渉などで価値を高めて転売するなど、不動産業者が日常的に行なう手法です。 不動産投資初心者にお勧めしたいのは、2つ目のコアプラス型です。基本的には、「地味で普通の物件」を購入し、中長期で保有するだけでOK。保有期間中は満室を目指して、賃料収益の最大化を図ります。 保有期間中のキャッシュフロー(賃貸収入からローン支払いや諸経費を除いて手元に残るお金)がごくわずかだったとしても、長期で保有すれば残債が減ります。そうすると、仮に購入時と同額で売却した場合、減らした残債分は売却時に現金化される仕組みのため、最後には利益を得られます。 高齢の富裕層なら、1つ目のコア型もいいでしょう。一等地やプレミアム物件のほうが、相続税は安くなる傾向があります。また、3つ目の業者型は、1000万円程度の価格帯から参入することはできますが、不動産業者と競合することになります。何らかの得意分野がなければ勝つことが難しく、目利きに優れた人、自分で部屋の修繕ができる人、民泊の集客などができる上級者向けです。
収益計算は「スプレッド」に注目
Q3.不動産投資は銀行借入ができるといっても、金額が大きいので、ローンを組むことに不安を感じてしまいます。収益計画はどのように立てればいいのでしょうか? A.不動産の収益計画を立てるのは簡単です。どの物件を買うときでも計算方法は同じなので、既製の収益シミュレーションを使えば、自分で一から作る必要はありません。「不動産投資シミュレーション」とネットで検索すれば、無料でシミュレーションができるサイトやアプリも見つかります。 ただし、無料で利用できるものは簡易版が多いので、様々な条件を入れて精緻に収益計算をしたい方にお勧めしたいのは、私の著書『Excelでできる不動産投資「収益計算」のすべて』で付録として提供しているExcelシートです。これは不動産投資家が利用する収益シミュレーションの中では最もシェアの高い計算シートの一つで、この計算シートを使えば、30年先までの収益やキャッシュフローが計算できるので、不確実な要素は少なくなります。 収益構造で覚えておきたいのが、「不動産投資の利益の源泉はスプレッド」ということです(上の図)。銀行借入をして物件を購入する場合、安定した高い賃料収入(純利回り)と低い借入金利の差額(スプレッド)こそが、不動産を保有した際の利益の源泉となっていることを理解しておきましょう。この「純利回りと金利支払いのスプレッド」から税金を差し引いた残りが正味利益であり、毎年の純資産増加額となります。