アマ13冠の”最高傑作”堤駿斗が井岡一翔の志成ジムからプロ転向…井上尚弥、那須川天心とのドリームマッチを目論む
「ボクシングは、一般の人からすれば、ちょっと怖いイメージがあると思う。血が出たり殴り合い、ケンカだと。でも危険なスポーツではない。ただの殴り合いじゃない素晴らしいスポーツ。殴り合った後に相手を称えあう魅力を伝えたい」 そのプロの本当の魅力を学んだ試合がある。 9日に行われた大学の先輩でもある村田諒太(帝拳)とゲンナジ―・ゴロフキン(カザフスタン)のミドル級の2団体統一戦だ。堤は、村田が9ラウンドTKOに敗れた激戦をAmazonプライムの配信で見たという。 「ボクシングというのは戦う前は敵同士でバチバチであっても終わった後にお互いをリスペクトし合うという関係性が素晴らしいところ。そこに魅力を感じているし、分もボクシングの好きなところのひとつ。日本人が元パウンド・フォー・パウンド1位と戦って、あれだけ盛り上げることは、これまでなかった。それが当たり前になってきた、この波にのっていきたい」 また堤はプロらしくリング外の魅せ方にもこだわり「リング外でも入場から注目していただきたい。入場曲が“カッケエ“から生で見たいと思われたい」という。兄の勇斗氏が「DJのはしくれ」(堤)で、入場曲のリミックスを依頼する考え。ちなみにショーン・ポールというアーティストのファンだとか。 通常体重は65、66キロがあり、プロではフェザー級(57.12キロ)を主戦場に考えているが、チャンスがあればスーパーバンタム級(55.34キロ)に落とす覚悟もある。この階級で戦うことになれば、バンタム級のベルト統一後に転級が予定されている井上尚弥、そして、武尊とのビッグマッチの後にボクシングに転向する那須川天心とのドリームマッチが実現する可能性も出てくる。 井上尚弥とは、8、9回ほどスパー経験があり、「全然違います。何が違うって言えないくらい」の力の差を感じているが、「今はまだ大きなことは言えなが、そこ(対戦)を目標にしている。(対戦の)話題が出るような選手になりたい」との夢がある。また親交のある那須川天心に関しても「オファーがくれば、やりたいですね」と断言した。 志成ジムではアマ時代の練習環境をそのまま継続する。堤兄弟をアマのトップに引き上げた理由のひとつに指導を受けてきた父親の存在があるのだ。父親と共に教えてもらってきた渡部浩太郎氏が引き続き専属トレーナーとなり、週に一度は、父親の意見も仰ぎ、弟も含めた「家族ミーティング」も定期的に開くという。堤にとって家族は精神的支柱でもあり夢を実現するための心強いサポートになる。 プロテストは26日に後楽園ホールで行われる。B級ライセンスになるが、JBCに特例を申請してデビュー戦は、A級ライセンスに相当する8回戦で挑みたいという。 契約時には「格下じゃなく互角の選手と自分にプラスになる試合をやっていきたい」との要望も出した。現在WBOから対戦指令が出ている井岡一翔と元4階級制覇王者、ドニー・ニエテス(フィリピン)の指名試合を「7月・国内開催」で調整中のため、そのアンダーカードでデビュー戦が組まれる予定となっている。