判定でジェルウィン・アシロに勝利した那須川天心

　「ボクシング・ＷＢＯアジア・パシフィック・バンタム級王座決定戦」（１４日、有明アリーナ） 【写真】左ボディーでダウン奪う天心　拳を高々と上げる 　同級１位の那須川天心（２６）＝帝拳＝は同２位のジェルウィン・アシロ（２３）＝フィリピン＝に判定３－０（９７－９２、９８－９１、９８－９１）で勝利し、キャリア５戦目で初のタイトルとなる地域王座を奪取した。通算成績は５勝（２ＫＯ）無敗とした。 　序盤からリズム良く左の強打をたたき込んでいったが、９戦無敗のフィリピンの２３歳も果敢なファイトで一進一退の攻防を繰り広げた。それでも天心は終盤９回に強烈な左ボディーを当ててダウンを奪い、１０回に左まぶたをカットする場面もあったが、そのまま押し切った。３戦連続ＫＯはならなかった。 　勝者インタビューでは「無事にアジアのベルトを巻くことができました。大事な顔に傷つけやがって。顔で売ってるのに。５０戦して初めて傷がついた。こういうもみくちゃな試合に勝ててうれしい」と冗舌に語った。「ＫＯしたかったんですけど、１０ラウンド通してボクシングできることは証明したが、もっと圧倒的に強くなっていきたい。今、バンタム級は４人チャンピオンが日本人なんですけど、今日の試合ではすぐにでも、というのはどうかと思う」とした上で、今後に向けて「来年中に必ず、那須川対世界、ぜひやりたい。勝ちましたよ、武居くん。そんな感じです」と、来場していたＷＢＯ王者の武居由樹に語りかけていた。 　会見では武居の名前を出したことに「お返しです。来てくれたんで報告だけさせていただいた」とし、日本人王者４人の誰とやりたいかと問われ「全員とやりたい。ベルトが欲しいからやるじゃなくて強いからやる。ベルトがあれどなかれど強い。これからどういうふうに組まれるかは楽しみ」と語った。 　１４年にキックボクシングデビューして以降、最軽量での戦い。「プロデビューした頃よりも低い階級で定めてくっていうので、１０年間よくやってきたなというのは思いますね」と語っていた天心。七大世界戦が行われる興行の中で「宇宙系ボクシング」をみせると意気込んでいた。 　◇那須川天心（なすかわ・てんしん）１９９８年８月１８日、千葉県松戸市出身。キックボクシング４２戦全勝、ＭＭＡ４戦全勝。１８年にエキシビションでフロイド・メイウェザーＪｒ．（米国）と対戦。２０２２年６月、東京ドームで開催された「ＴＨＥ　ＭＡＴＣＨ」で武尊との頂上対決に勝利した。２３年４月にプロボクシングデビュー。弟の那須川龍心はキックボクサーでＲＩＳＥフライ級１位。身長１６５センチ。リーチ１７６センチ。左ボクサーファイター。