アマ13冠の”最高傑作”堤駿斗が井岡一翔の志成ジムからプロ転向…井上尚弥、那須川天心とのドリームマッチを目論む
アマ13冠の堤駿斗(22)が13日、東京目黒区の志成ボクシングジムで記者会見を開き、同ジム所属選手としてプロ転向することを発表した。堤はアマ13冠の逸材。プロ転向を決めてからは国内外で争奪戦となったが、尊敬する4階級制覇王者で現WBO世界スーパフライ級王者の井岡一翔(33)が所属している同ジムを選んだ。堤は2年以内の世界王座奪取とパウンド・フォー・パウンドの上位にくるボクサーを目標に掲げ、階級がかぶる可能性のあるWBA世界バンタム級スーパー、IBF世界同級王者の井上尚弥(29、大橋)や幼馴染みでボクシング転向が決まっている那須川天心(23)との夢対決を目論む。堤は26日にB級でプロテストを受験「7月・国内」で調整中の井岡の世界戦のアンダーカードでデビュー予定だ。
モンスターが絶賛
あのモンスターが「距離感が素晴らしい」と絶賛したアマボクシング界の“最高傑作”がプロの世界にやってくる。ダークスーツに身を包んだ堤は、緊張した面持ちで「ボクシングを始めた小さい頃からの世界チャンピオンになるという夢をかなえるため」とプロ転向理由を説明した。 「魅せるボクシングをして、いろんな人にボクシングの良さを知ってもらいたい」 聡明でコメントも淀みない。 5、6歳から極真空手をしていたが、先にボクシングを始めていた兄・勇斗(27)の影響を受けて小学校5年で地元のボクシングジムに入門した。この頃、幼なじみの那須川天心に誘われ、キックボクシングとの二刀流だったが、「楽しいのはボクシング」と中2になってボクシング1本に絞った。そこから才能が開花。中学時代からU―15全国大会などジュニアの大会のタイトルを総なめにして、習志野高校では6冠。高校生で全日本選手権に出場して頂点に立った。井上尚弥以来、6年ぶりの快挙だった。 アマでのタイトルは計13冠。世界ユースでも日本人初の金メダルを獲得。一躍、東京五輪の金メダル候補として注目を集めたが、減量苦があり、アジア予選では1回戦で敗れて代表推薦枠から漏れた。世界最終予選でのラストチャンスにかけたが、新型コロナ禍の影響で、最終予選は中止となり夢は叶わなかった。 元々、東洋大卒業と同時にプロ転向するつもりでいたから、この時点でプロ転向時期を早めることも考えた。だが、「最後に挑戦してみよう」と昨年10月の世界選手権出場を目指し、セルビア・ベオグラードで行われた同大会にライト級で出場して世界選手権3度優勝で東京五輪銅メダリストのラサロ・アルバレス(キューバ)を破る快挙を演じた。3回戦で判定負けし8強進出はならなかったが「心残りはない。スッキリした」とプロ転向を決断した。 むしろ「悩んだときもあったが、五輪を本気で目指した日常が成長させてくれた。あのとき悩んだんだからプロに入って悩まずに済む。反省を生かしてプロへ行けるのが大きい」とアマ時代の挫折をプラス材料として受けとめている。