成長を続けるBtoB-EC市場の基礎知識。歴史、構成する2つの種類、あまり知られていない市場規模の中身とは?
とはいえ、現実は必要な商材を調達したいケースにおいて、EDI型、小売型の両方可能なケースもある。たとえば、外食産業のように必要な食材をEDIで調達することもあれば、個別の食材を小売型で手に入れることもある。クロスオーバーするケースは存在するが、できるだけ分けて整理していくことが必要であるだろう。
BtoB-ECの機運が高まっている背景
BtoB-ECにはEDI型と小売型があり、古い歴史があるわけだが、筆者の感覚では特にこの2~3年の間にBtoB-ECの機運が以前にも増して高まってきているように感じる。その理由について、筆者なりに思う点を整理してみた。 ■ (1)コロナの影響 2020年に始まった新型コロナウイルスの流行が、人間同士の交流に大きな支障を与えたことは記憶に新しい。小売面ではBtoC-ECが大きな恩恵を受けて市場規模が大きく伸びたわけだが、ビジネス面でもリアルな商取引を回避するため、BtoB-ECへの関心や実需が高まる結果をもたらしたと考えられる。 ■ (2)効率化の追求/人手不足 少子高齢化によって人手不足が蔓延している。これはおそらく不可逆的で、今後解消しないと筆者は見る。ビジネスの世界では常に効率化が追及されるわけで、調達/販売業務において、BtoB-ECによって業務効率化を図りたい企業側の意図が見える。 ■ (3)BtoC-EC市場の成熟化 BtoC-ECはいまだその市場規模は拡大し続けているものの、当面4~5%の成長率が続くと筆者は予想している。すなわちBtoC-EC市場は成熟市場となり、企業によって勝ち負けがはっきりするようになってきた。この局面において、自社商材を個人向けではなく企業向けに販売したいとする企業が増えてきていると予想する。 ■ (4)EDIの代替 EDIを利用しない企業は、その理由にITコストの負担があると考えられる。要するにコスト面で断念しているということである。そこで、既存EDIシステムの代替として、あたかも小売のようにBtoB-ECを採用しようとする企業が一定数存在しているのではないかと考えられる。