成長を続けるBtoB-EC市場の基礎知識。歴史、構成する2つの種類、あまり知られていない市場規模の中身とは?
これまでの歩みを振り返ると、EDIはECというよりも、サプライチェーンの電子化の側面が強いという感覚を筆者は持っている。まさに企業におけるIT化だ。EDIを受発注の手段として捉えている方々も多いと思うが、それ以外についても出荷、検品、受領、返品、請求、支払いといった一連のビジネスプロセスも包含する。今でいうDXそのものと捉えることもできるだろう。このような点もEDIがECというよりも、ビジネスのIT化のイメージに近いと筆者が考える所以だ。
BtoB-ECの種類は「EDI型」と「小売型」に大別
ではBtoB-EC=EDIかというと、そうではない。 たとえば、総合小売的なBtoB-ECをあげると、アスクルやカウネットはオフィス用品のBtoB-EC。モノタロウは工場の現場で使用する工具などのMRO(Maintenance Repair and Operations)商材を主に取り扱うBtoB-ECである。アスクルの取り扱い商材数は約1300万点、モノタロウは約2000万点にのぼる(それぞれ各社自身による発表)。 一方で、特定のカテゴリーに特化したBtoB-ECも多い。たとえば住宅設備・建築資材を取り扱うサンワカンパーニーは、ゼネコン、施工会社、工務店などを購入相手としたBtoB-ECを展開。また、歯科材料、医療・介護用品の「Ciモール」を手がける歯愛メディカル、美容院向けの商材を取り扱うビューティガレージなど、特定の業種や業界に特化したBtoB-ECは多数存在する。 筆者はEDIによるBtoB-ECと区別する意味で、これらのECを「小売型」BtoB-ECと呼んでいる。EDI型と小売型の違いは、前者は製造から販売までの一連のサプライチェーンを念頭に置いている点に対し、後者はシンプルに企業向けの小売ビジネス(購入企業側にとっては必要な商材の調達)であるということ。つまりBtoB-ECはEDI型と小売型に大別できるというわけだ。 世の中に存在するBtoB-ECに関する説明では、どうもこれらが“混ぜこぜ”で語られるケースが多いように感じる。両者はその成り立ちが異なるため、別々に整理され論じられることが好ましいと言えるだろう。