原作者の魔夜峰央さんも絶賛、「翔んで埼玉」第2作 くだらなさを真剣に追求した壮大な茶番劇「~琵琶湖より愛をこめて~」が公開
あの、壮大なスケールで茶番劇を展開し大ヒットした映画「翔んで埼玉」が帰ってきた。今回の舞台は関東はもちろん関西を巻き込み、おなじみの埼玉解放戦線の面々が日本埼玉化計画を推進する。原作者の漫画家・魔夜峰央さんも大絶賛。サブタイトルが「琵琶湖より愛をこめて」の第2作は11月23日から公開されている。(共同通信=中村彰) 【写真】「翔んで埼玉」、田んぼに登場 世界最大級アート、行田市
▽魔夜さん「本当に捕まっちゃいます」 魔夜さんは試写を見て「面白いし、前作からはるかにスケールアップしている。しかも作りが緻密になっている。内容がてんこ盛りの感じで、ラストどうまとめるんだろうと思っていたがきれいにまとめた。満足以上、さすがだな」と絶賛する。 見どころは主演のGACKTと今作から加わった杏の共演だという。「掛け合いというか、ガップリ四つに組んでいるという演技のやりとり、応酬がすごく印象に残っています」と話す。 この勢いなら第3弾、第4弾も作れそう。漫画原作の続編は描かないのだろうか。魔夜さんは「無理です。今描いたら本当に捕まっちゃいます。(原作を描いたのは)何十年も前だから許されるような。時効が成立しています」と言下に否定した。 原作の漫画「翔んで埼玉」(1982年発表)を描いたのは、新潟県から編集者らが住む埼玉県所沢市に引っ越し、プレッシャーにさらされたのがきっかけだった。屈折した思いが「埼玉県人にはそこらへんの草でも食わせておけ!」といった、過激ともいえるせりふに結実した。「本も映画も一番売れたの埼玉ですし、埼玉の方が一番喜んでくださって。埼玉の方、心が広い」と語る。
▽海を造る!壮絶でナンセンスな戦いへ 第2作は埼玉県人の東京への通行手形が撤廃されるまでを描いた第1作の3カ月後の設定。埼玉県人の心をつなぐため海を造ることを決意した麻実麗(GACKT)らは和歌山・白浜へと船出する。そこで出会ったのが滋賀解放戦線の貴公子・桔梗魁(杏)。対峙する関西のドン大阪府知事・嘉祥寺晃(片岡愛之助)、神戸市長(藤原紀香)、京都市長(川崎麻世)らと壮絶でナンセンスな戦いを繰り広げる。 埼玉、千葉、滋賀、京都、大阪、神戸をはじめ、関係する土地土地の細かいネタが随所に仕込んである。オープニングは埼玉県民のソウルフード・山田うどんの俯瞰から。車窓からは埼玉県発祥のファッションチェーン・しまむらの看板が見え、「おお 埼玉 埼玉 輝く埼玉~」の力強い歌声が耳に残る埼玉県歌とともにタイトルが浮かび上がる。 浦和と大宮が対決する綱引き大会で両チームが着るTシャツの色が、浦和はレッズの赤、大宮がアルディージャのオレンジと、サッカーJリーグのチームカラーなどというのは初歩の初歩。目を凝らしてスクリーンを見ているとこんなネタ、あんなネタが各所にちりばめられている。関係する地域の人たちは何が隠れているか探しながら見るのも楽しいだろう。