【ウインターカップ2024】藤枝明誠の金本鷹ヘッドコーチ「自分たちのバスケをブラッシュアップさせる」
「得点力でずば抜けた選手がウチにはいません」
──そのシステムでの打開は、どんなイメージですか? 個のクリエイト力よりも組織でのクリエイト力を考えたいです。ズレの連続性に今は着目しています。1対1の状況で隣のディフェンスにヘルプを意識させたら1対1.1になって、オフボールのところで1対0.9ができる。もう一つズレを作って1対0.8になると、そこを守るために相手はさらに0.2寄らなきゃいけない。それを積み重ねて1対0.5にして、理想としては1対0に持っていく。そういった組織オフェンスを作りたいと思っています。 東山や大濠には得点力でずば抜けた選手がいますが、今年のウチにはいません。渡邊聖も良いシューターですが、クリエイトしてのシュートではないので。野津洸創はサイズのあるウイングプレーヤーとして将来性のある選手ですが、まだやっぱりフィニッシュには課題があります。その個々の課題に取り組みながらも、よりチームに貢献できるプレーヤーになってもらうためのシステムを作っていきたいと考えています。 ──そういったチームを成長させる手段を考えて取り組むのは、大変さもあるし面白さもあると思います。金本コーチはそのバランスをどれぐらいで感じていますか? チーム作る難しさがあることを、すごくありがたいという感覚が自分の中にあります。自分を研鑽するきっかけになりますし、「これじゃダメだな」、「もっと考えなきゃな」、「もっと勉強しないと」と思わされることばかりで、楽しいとは言えないかもしれませんが常に新鮮な気持ちでやれています。 その中でもやっぱり難しさも歯がゆさもあって。選手に対するフラストレーションも当然出てきます。バスケならともかく、生徒指導の問題とか日常生活の問題が出てくると「こんなことに時間使ってんじゃないよ」とも思いますし。でも、それが高校生だよねとも思います。バスケを通して人間をどう成長させていくのかがやっぱり私たちのベースでなければいけない。特にこの1年間はそういうことを感じながらやっています。 ──藤枝明誠の選手たちを見ていると、すごく明るくて良い子たちに見えます。 特に今年はみんな本当に良い子ですね。ただ、バスケで言うとそれが悪い子になってしまうことがあります。すぐ譲ってしまうんですよね。勝ち負けのギリギリのところで譲ってしまう。悪くなれない。みんな協調性があって、「カラスは白い」と言われたらそのまま受け入れてしまうような。トップリーグでもよくあったのですが、ブレイクに持っていかれるところで最後までコンテストに行かないとか。ファウルになってでも阻止すべきところなのに行けない。それはチームとして見られた時に、やっぱり「弱い」になってしまいます。 そういう部分で渡邊はすごくやってくれる選手なんですけど、最近ちょっと丸くなってきました。インターハイではもっとガツガツやってたんですが、協調性があるせいで周りに合わせてしまっている感じです。それでも勝負ごとに遠慮はいらないし、それがこのチームのスタイルであってほしいので、ガツガツした部分をもっと出してほしいです。出る杭は打たれるなら、とことん出て打たれないような選手になってほしいです。