[MOM4844]福岡県GK田中利玖(福岡U-18、1年)_「チームのため」に。ピッチ外からずっと声を出し続け、訪れた出番でPKセーブ!
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ] [9.23 国スポ少年男子準々決勝 福岡県1-1(PK5-4)東京都 北部グラウンドB] 【写真】ジダンとフィーゴに“削られる”日本人に再脚光「すげえ構図」「2人がかりで止めようとしてる」 何よりも「チームのために」を考えていた。福岡県は、PK戦突入直前の後半35+3分に“PKセーバー”のGK田中利玖(福岡U-18、1年)を投入。「これまで何もチームに貢献できてなかったから、呼ばれた時にいつでもチームのためにプレーができるようには準備していました。自分はやるだけでしたけれど、やっぱりチームのためが一番。チームが勝てるようにプレーできたらと」。その守護神が東京都5人目のシュートを止め、準決勝進出の立て役者となった。 田中は小学生時代からPK戦で勝ち続けており、PKに絶対の自信を持っていた。4本目まではことごとく読みが外れ、逆を突かれ続ける展開。少し焦りもあったというが、「やっぱPKは自分、得意なんで、そこ信じて最後を跳んだら当たって止めれました。最高でした」。自分の感覚を信じて左へ跳躍。グッと腕が伸びるようなセービングでボールを弾き出した。 藤江智規監督(北九州市立足立中)は、殊勲の田中について「やっぱ彼は今までもずっと出番がなく。でも、ほんとにチームのためにずっと声を出してくれて。昨日、一昨日のゲームもずっとですね。我慢しながらこの時を待って、そこでこの力を発揮してくれるっていうのは、もう素晴らしいとしか言えないです」と絶賛した。 この試合、GK野上陸翔(北九州U-18、1年)が好守を続けて1失点で凌いでいたが、PK戦では迷うことなく、田中に託した。「彼(田中)とは『もう最後は、トシだ』っていうことは僕、話をしていました」。その期待に“PKセーバー”が応えた。 田中はシュートセーブやロングキックを得意とし、GK川島永嗣(磐田)のプレーの圧力、勝たせるプレーに憧れる守護神。「やっぱ試合は出て、チーム勝たせて、声で守りつつ、打たれた時には後ろに自分がいるよっていうプレーができるようにしていきたい」と語る。 現在、選抜チームで先発できないのは自分の「実力不足」と分析。野上の実力も十分に理解している。「(野上は)ほんとに上手いっすね。安定感もあるし、やっぱり小学校から一緒にやってるから。もうずっと(競争はどちらかが出たり、出なかったりの)こんな感じだから」。今大会は自分の立場でできる声を出すこと、PK戦で活躍することでチームに貢献する意気込みだ。 今年の福岡県について、田中は「もう個々の強さがあって、みんな弱いところも強いところもあって、弱いところはその他の強い人が補えるみたいな、そういう助け合えるチーム。あと、テンションが高くて(微笑)」と説明する。そのチームとともに戦うのもあと2試合。「出たら、もう最高の準備をして勝てるように。もう出たら勝てるようにして、シュートもバンバン止めていきます」という田中が、声とシュートセーブでチームの日本一に貢献する。
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