「密」回避に自動アラート 愛知・安城市で実験的プロジェクト
愛知県安城市のJR三河安城駅前で10月2、3日の2日間、社会実験を兼ねた市民イベントが開かれた。音楽やスポーツ、マルシェなどのイベントを行いながら、公共空間活用のためのデータを収集した。 【動画】「密」回避に自動アラート 愛知・安城市で実験的プロジェクト また、新型コロナウイルス対策として、会場が「密」になりそうなタイミングで警戒を発するしくみを取り入れるなどの工夫も試された。
まちづくり、防災のデータ化の延長で企画
「つかう.meet.フェス」と題したこのイベントは、三河安城商店街振興組合や市内のまちづくりに関わる企業、NPOなどの実行委員会が企画した。 2年ほど前から、まちづくりや防災とデータを組み合わせた実験的プロジェクトに取り組み、「まちの自慢」や災害危険度の高さなどをデータ化し、ネット上のマップ作りを進めてきたという。 その一環として、コロナ禍でもできることを探ろうと1年をかけて企画を練った。市職員の有志も関わり、新幹線駅と在来線駅に挟まれた公園を活用。地元飲食店によるマルシェや音楽ステージのほか、隣接する刈谷市を拠点にするプロバスケットボールチーム「シーホース三河」の公式戦のパブリックビューイングや3人制バスケ(3×3)のエキシビションマッチ、eスポーツ大会なども開いた。 来場者にスマホなどを通じてアンケートを取り、公園や周辺空間をさらに有効活用するためのデータ収集も狙った。
電力会社のカメラ管理システムを応用
「密」対策として、中部電力パワーグリッドが協力。電柱や鉄塔などの周辺状況を管理する映像システムを応用し、会場に隣接する立体駐車場の上階に取り付けた2台のカメラの映像から、場内のエリアごとの人数を自動的にカウント。設定した上限人数を超えると関係者に一斉メールが出され、「密」を回避する対策を促すようにした。 2日間で来場者は1200人ほどで、「密」対策のアラートは発せられなかったが、同時にモニタリングした会場周辺の気象データから熱中症情報のアラートを計16回発し、飲料を配布するなどの対策に生かされたという。 中部電力パワーグリッド岡崎支社の柴田鐘悦さんは「このシステムをイベントで活用するのは初めてで、今後の成果につながっていけばいい」。実行委員長の勅使河原正直さんは「緊急事態宣言が解けたとはいえ心配な方も多かったと思うが、コロナ対策には神経を尖らせた。地元愛の強い地域なので、近所で躊躇せずに遊ぶというやり方を示せてよかった」と話していた。 (関口威人/nameken)