【実践】生成AIリテラシーを爆増させる「大学の宿題」が面白い、社員教育にも絶大効果
急速に普及している生成AIのリテラシーを高めてもらうため、ユニークな課題を学生に課している大学がある。それが、お茶の水女子大学の伊藤 貴之教授が出している「生成AIが作成した不完全な回答を修正し、適切な内容にする」という課題だ。同様の課題を企業の社員教育に適用すれば、「むしろより大きい効果を発揮するのでは」と同氏は考えているという。そこで今回、伊藤氏に課題の概要や効果、社員教育に適用する際の留意点などについて話を聞いた。 【詳細な図や写真】学生に課した宿題の内容は主に4問(伊藤氏提供)
「生成AIの回答を修正させる」課題を始めた経緯
お茶の水女子大学が生成AIの対応を始めたのは2023年初頭にまで遡る。生成AIが一気に普及することになったOpenAIのGPT-3.5が2022年11月のリリースであるため、かなり早いタイミングだ。伊藤氏は次のように振り返る。 「当時からすでにChatGPTを使い始める学生も現れていました。これから生成AIが社会のさまざまな分野で普及していくのに伴い、学生が適切に利用できるようなサポート体制を、大学としても整える必要があると感じていました」 そこで同氏も一員となって、2023年の早い時期に「生成AI利用ワーキンググループ」を立ち上げ、学生たちに生成AIツールの使用上の注意事項などについて周知。2024年2月には、このワーキンググループを中心とした活動の一環として、学内講演会「授業・研究における生成系AIの活用事例」を開催した。ここでの講演を依頼されたことを機に、学生に生成AIを実際に授業の課題として使わせ、使い方を観察してみたいと考えたという。 「レポート作成をはじめとした課題提出などに、当然ながら生成AIの回答が用いられることが予想されます。しかしながら生成AIによる回答というのは、不正確な内容や古い情報が含まれていたり、質問にそぐわなかったりしますから、そのまま提出するには不十分です。そこで、自分で生成AIの回答をどのように書き直すべきかについて学ぶ機会を提供しようとなったのです」(伊藤氏)