【実践】生成AIリテラシーを爆増させる「大学の宿題」が面白い、社員教育にも絶大効果
課題のさらなる「応用」の可能性
生成AIを活用した課題の今後について、伊藤氏はより複雑な形式への発展が重要だと考えている。 「今回は一問一答形式の簡単な設問でしたが、今後は長文作成や、複数人での共同作業による課題を出すことも考えられます」(伊藤氏) たとえば、生成AIに複数の質問を投げかけて複数の回答を得た場合、その回答の整合性を踏まえた文書作成が求められるため、学生にはさらに高度な編集力や考察力が必要になってくる。 また、理工系の技術文書のように担当教員が正誤を判断しやすい課題とは異なり、人文系に多い感想文や持論を述べる課題ではあらかじめ決まった正解が存在しない。そのため、「出題分野ごとに適切な視点や評価基準を設けるなど、学生が独自の視点を生かせるような課題設計を工夫する必要があるはずです」と伊藤氏は語る。 これらの「複数人での共同作業における整合性の確保」や、「独自の発想を生かした文章に対する評価基準の工夫」といったテーマは、企業向けでも応用できるだろう。 企業活動を進める上で生成AIは必須ツールとなっている。社員の使いこなし度合いが今後の事業拡大を左右する、と言っても過言ではないだろう。伊藤氏が課す課題は、そうしたスキルを養う社員教育に有用なのではないだろうか。
聞き手・構成:編集部 井内 亨、執筆:行政・ITライター 小池 晃臣