【実践】生成AIリテラシーを爆増させる「大学の宿題」が面白い、社員教育にも絶大効果
生成AI時代でも変わらない「学ぶべき3つのこと」
「SNSを閲覧するのと同じような感覚で、生成AIを日常的に使う時代が来るでしょう」と伊藤氏が語るように、生成AIのさらなる普及は必至だ。そして学生は、自主的に生成AIを学習目的で使うようにもなるだろう。 「とは言え、生成AIを正しく使いこなすためには、一定の『専門知識』や『文章力』、『メディアリテラシー』が不可欠となります。つまり、生成AIがあってもなくても、学ぶべきことは変わらないということです」(伊藤氏) 上述を踏まえて伊藤氏は、次のようなことについて伝えたいという。 「私たちが伝えるべきは、これからは生成AIを使う能力によって、与えられる評価が大きく変わってくるということです。生成AIを使う上で前提となる基礎知識や、回答を自分の言葉で表現する文章力、メディアリテラシーは、もともと学ぶべきことですが、それが生成AIの活用にも直結していて、やがて個々人の間に大きな差として現れるでしょう。そこを理解してもらうことが大切だと考えています。このことは学生だけでなく、社会人も一緒です」
企業の「社員教育」で適用する際に「注意すべき1つのこと」
現在、企業でも生成AIの活用が大きなテーマとなっているが、とりわけ営業職や事務職の資料作成のように、定型性の高い作業に生成AIは有用であると見られている。また、より専門性の高いSEやコンサルタントなどでも、生成AIが向いている定型的な作業が多々ある。 「そうしたビジネス資料の作成というのは、大学の課題以上にスピード感が求められているので、生成AIの活用効果はより大きいはずです。だからこそ、今回学生に課したような課題は、企業の社員教育にも適用できるはずで、むしろ大学の学生向け以上に効果を発揮するではないでしょうか」(伊藤氏) ただしここで注意したいのが、社員に同様の課題を課した時にその提出物を“誰がチェックするか”だ。 「大学の場合は教員がチェックし、採点も教員の裁量で行っています。対して、企業の場合は生成AIを用いて作成した資料などの内容を誰がチェックして、どのような生成物を“良し”とするのか、そうした判断基準についてしっかりと議論する必要があると思います。また、課題を出すにしてもたとえば、架空の顧客に対して生成AIで作成したコンテンツを用いてプレゼンするロールプレーイングを実施するといったように、なるべく現場に近い臨場感のある課題を出したほうがなじみやすいのではないでしょうか」(伊藤氏)