期末テストで休みたい学生アルバイトと絶対にシフトに入れたい店長、この戦いはどちらが勝つ?
「みんなで、一斉にアルバイトを休もうと思っていますが、店長から訴えられないでしょうか」。そんな相談が弁護士ドットコムニュース編集部に寄せられました。 相談者は、東北地方の大学に通う大学生で、大学の近くの飲食店でアルバイトをしています。その飲食店では相談者と同じ大学の人が多く働いていますが、期末テストのある月の1カ月間は、勉強のためアルバイトを休むと言います。 しかし、人出不足を危惧する店長は、「テスト期間でも休まないで欲しい」と強く言うそうです。相談者は「休みたい」と伝えたものの、店長もしつこく、テスト期間中にもかかわらず、シフトを入れられてしまいました。 相談者は、他の仲間とともに、「シフトに入れられた日時にみんなでドタキャンしよう」と話しているそうです。一方で、人出不足により業務に支障が出た場合、店長から賠償請求されるかどうか心配になっていますが、問題ないのでしょうか。 村松由紀子弁護士に聞きました。
●会社が休業を認めないのは雇用契約違反?
――そもそも、会社が相談者らの学業による休業を認めなかったことに、問題はないのでしょうか 学業による休業を認めるかどうかは、相談者さんと会社との雇用契約の内容によります。雇用契約の中で週何回働くとか、土日は休みなのかといった雇用契約を交わしていると思います。雇用契約の内容を超えて、シフトを強要することはできません。 また、「1月●日から●日は休みとする」とか、「テスト期間は休みとする」などという特記があれば、学業による休業を認めないこことは雇用契約違反となります。 雇用契約内容の範囲内で、かつ、特記もなく、という場合でも、学生を雇っているのですから、会社は本業である学業に配慮することが望ましいですが、雇用契約違反とまではいえないと思います。
●一斉に休んだら損害賠償請求の可能性
――無理にシフトを入れられてしまったとはいえ、他のバイト仲間とともに休んだ結果、店の営業が困難になったような場合、損害賠償を請求される可能性はあるのでしょうか シフト制の場合、店側からシフトの打診をされ本人がそれを了承することにより、日時が確定し、労務提供義務が発生します。不本意であっても、明確に拒否していない場合は、同意とみなされる可能性が高いです。 したがって、一斉に休むことにより、店が休業を余儀なくされた場合など、損害賠償請求される可能性があります。 労働条件の改善を求めて、一斉に休業する(ストライキ)をすることが組合活動として認められていますが、これは、使用者と協議を尽くすなど、一定の条件を満たさなければなりません。 相談者さん達は、組合として活動しているわけでもありませんし、突然、全員が休むのではなく、まずは店長と交渉をするべきでしょう。