愛知県の「BA.5対策強化宣言」9月末まで延長 コロナ対策本部会議で決定
愛知県は30日、新型コロナウイルスの「第7波」に対処するために8月5日から出している「BA.5対策強化宣言」を、9月30日まで1カ月間延長することを正式決定した。県民や事業者にあらためて基本的な感染防止対策と早期のワクチン接種の検討を要請するほか、新たな対策として、夏休みの終わる学校には健康観察の徹底や体調不良の児童生徒らを登校させないよう求める。また、医療機関の負担を軽減するため、企業や学校には従業員や生徒らに陰性証明書などの提出を求めないことも呼び掛ける。 大村秀章知事は、宣言延長を決定した県の新型コロナウイルス感染症対策本部会議で「特に学校が再開すると子どもたちの感染拡大が懸念される。引き続き警戒を強めながら、緊張感を持って取り組みを進めたい」と述べた。
夏休み明けの学校での感染拡大に警戒
宣言は8月5日に東海3県が足並みをそろえる形で発出。当初はお盆の期間を挟んだ21日までを予定していたが、愛知県はお盆前に8月末までの延長を決定。今回が二度目の延長となる。岐阜、三重両県は既に9月4日までの延長を決めている。 対策本部会議で、愛知県医師会の柵木充明会長は「夏休みが終わると子どもたちの間で感染が始まるため、まだまだ警戒は必要。一方でお盆の最中に患者が集中した苦い経験を踏まえ、休祝日にコロナを診療できる医療機関を募集しておくなど、(次の波に向けて)診療体制を整備しなくてはならない」と指摘。国立病院機構名古屋医療センターの長谷川好規院長は「愛知でも感染状況は減少傾向にあり、明るい兆しも見えてきている。コロナとの戦いに具体的な退却の道筋も議論するべき時期だ」などと述べた。
全数把握は継続
政府が自治体ごとに見直しを求めている「全数把握」については、軽症や無症状の人にもショートメッセージで各種療養サービスの情報を伝える必要があることから、これまで通り続けることを確認した。ただし、国のシステムを通じた発生届の入力項目は、重症化リスクのある人は従来通りの11項目、それ以外の人は住所、氏名、電話番号など最小限の5項目に簡略化する。 保健所関係者からは「本当なら全数把握をやめたいが、国が条件として示している感染者総数を年代別に公表するといったやり方では逆に医療機関の負担になる」「感染症法の2類相当のままでいいのかという本質的な議論を抜きに語れない」などの声が上がった。 大村知事は「軽症、無症状の人にもまったく連絡がいかないのでは(全数把握をやめるのは)難しい。できるだけ入力項目を簡略化して、9月なかば以降に(全国一律に見直すとする)国がどうするか、情報を集めて対応できるようにしたい。2類相当を維持するかどうかという議論ができていないのは国会の怠慢だ」と指摘した。 (関口威人/nameken)