2021年の再現を危惧していた? 実はマクラーレンの載冠には紙一重の部分も……ステラ代表「ピアストリと9位を目指してプッシュしていた」
タイトルを失う可能性
なおステラ代表は、ピアストリに9位を目指させていたという。 仮にピアストリがノーポイントで、ノリスが2位に落ちてフィニッシュした場合は、フェラーリ659ポイント、マクラーレン658ポイントとなり、フェラーリがチャンピオンになっていた。ピアストリが10位1ポイントを手にすれば2チームが659ポイントで並ぶが、そうなった場合は優勝回数が多い方がチャンピオン……つまりフェラーリが6勝目を挙げ、5勝のマクラーレンを上回る可能性があった。 過去の事例を考えれば、そんなシナリオになる可能性は十分にあった。たとえば記憶に新しい2021年アブダビGPのルイス・ハミルトン(メルセデス)vsフェルスタッペンのような状況になれば、まさにそういう結末になっていたかもしれない。 当時フェルスタッペンはレースでは完全に劣勢だったが、最終盤に出たセーフティカーの際にハミルトンがステイアウト、フェルスタッペンがピットストップしてタイヤを交換したことで形勢が逆転。フェルスタッペンがハミルトンを抜き、チャンピオンに輝いた。それと同じこととなれば、マクラーレンがタイトル獲得を逃すことになっただろう。 その可能性を封じるために、マクラーレンはピアストリの9位がどうしても欲しかったのだ。結果的にはノリスが勝ち、その心配はなかったわけだが。 「我々はオスカーと共に9位を手にできるよう、懸命にプッシュしていた。この2ポイントは不可欠だったんだ」 「セーフティカーが出た場合、カルロスが我々と別のことをする可能性もあった。我々がピットインしなければ、彼は新しいタイヤを履く可能性があったのだ。逆に我々がピットインしたら、彼はステイアウトして先頭に立ち、追い抜く必要が生じただろう。だからこれについてナーバスになっていたのは確かだ」
田中健一, Ben Hunt