2021年の再現を危惧していた? 実はマクラーレンの載冠には紙一重の部分も……ステラ代表「ピアストリと9位を目指してプッシュしていた」
2024年のF1コンストラクターズチャンピオンは、マクラーレンが獲得。実に1998年以来26年ぶりの栄冠を手にした格好だ。 【ランキング】2024年F1コンストラクターズランキング最終結果 最終戦アブダビGPでは、同チームのドライバーであるランド・ノリスが優勝し、これがタイトル獲得を決定的なモノとしたわけだが、実はノリスが2位に後退していたら、1ポイント差でタイトルを逃すところだった……そのため、1周目の接触で一時最後尾まで後退していたオスカー・ピアストリがひとつでも上の順位でフィニッシュできるよう全力を尽くしたと、マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は語った。 マクラーレンはアブダビGPの予選でフロントロウを独占。コンストラクターズタイトル争いのライバルであるフェラーリ勢は、カルロス・サインツJr.が3番グリッドに並んだものの、もう1台のシャルル・ルクレールは予選での失敗とグリッド降格ペナルティにより19番グリッドからのスタート。マクラーレン絶対有利の状況だった。 しかしスタートすると様相が一変。ノリスは首位をキープしたものの、ピアストリはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と接触したことにより最後尾付近まで後退。一方でルクレールはとんでもない1周目を走り、一気に8番手まで浮上。その後も着実にポジションを上げていった。 その結果ノリスが首位であるものの、2番手と3番手にはフェラーリの2台が続いた。そのままフィニッシュを迎えればマクラーレンのコンストラクターズチャンピオンが決まるものの、もしノリスがサインツJr.に攻略され2番手に落ちるようなことがあれば、一転フェラーリにタイトルが転がり込むという紙一重の状況でもあった。そのため、ピアストリがポジションを挽回し、できるだけ多くのポイントを獲得することが重要だったのだ。
窮地がマクラーレンを強くした
「1コーナーでの出来事を見た時に最初に思ったことは、チャンピオンシップを争うチームを相手にする時、それは不必要なことだと感じたということだ」 ステラ代表は、ピアストリと接触したフェルスタッペンに苦言を呈しながら、そう語った。 「しかし時には、逆境が自分たちの強みを発揮する機会を与えてくれる。それがまさに、今日起きたことだと思う」 「オスカーは決して諦めなかった。カルロスとランドの順位が入れ替わった場合に必要となったかもしれないポイントではなかったが、非常に重要なポイントを獲得するために、入賞圏内に戻ってきた」 「一方でランドは自分の強みを発揮し、完璧なレースをやってのけた。そして彼は常に冷静だったし、非常に落ち着いていた。そしてセーフティカーが出た時にピットインするか、新しいタイヤに履き替えるためにピットインするかなど、我々が彼に問いかけたいくつかの難しい選択肢を検討してくれた。最高のランドの姿を見たと思うよ」 ノリスのピットストップは、まさにチームにとって大いにプレッシャーがかかるシーンだった。ステラ代表が言うように、ここで何かがあり、タイムをロスすることがあれば、タイトルを逃すことになったかもしれないからだ。 しかしチームはミスなくノリスをコースに送り返した。このことを、ステラ代表は大いに賞賛した。 「チームの強さを見せられたのは、ピットストップだった。ここで問題が起こり、カルロスにポジションを奪われれば、チャンピオンを失う可能性もあった。しかしチームはシーズン最高のピットストップを行なった。マシンのパフォーマンスだけでなく、チーム全体の成熟度、メンタリティ、感情的な回復力という軌道を確認することができた。スタート直後の事故のおかげで、そういうことを示す機会が与えられたんだ」 「将来的には逆境は必要なく、より速いマシンを手に入れることができ、シーズン最後のレースで決着がつくようなことにならないで済むことを願っている」