きっかけは外国人の同僚の一言。言葉の壁なくし「働きづらさ」を解消へ。「やさしい日本語」を多言語表示に加えた理由
言葉の壁をなくすことで「フラットな組織作りに貢献」
島田さんは、システムの仕組みで言語的な障壁をなくしていくことで、「フラットな組織作りに貢献することができる」と話す。 日本語に不慣れな外国人スタッフが言葉の壁を理由に、労務手続きなどについて同僚や人事担当者に頻繁に質問しなければいけない状況が「教える側」と「教えてもらう側」という構図や、心理的な上下関係を生み出してしまう。 言葉の壁をできるだけなくすことで、会社やチームの中でも関係性をフラットに近づけ、ミスを減らし、会社全体としての効率を上げていくこと、そして「働きづらさ」を解消していくことを目指している。 本筋の開発ではどうしても、大半を占めるマジョリティのユーザーの使いやすさの優先順位が高くなってしまい、なかなかマイノリティのユーザーに向けた改善に取り組みにくくなるという。 しかし、SmartHRではそのようなことが起こらないよう、外国人や障がいがある人などにとって使いやすい状態であるかという品質の担保や改善を専門に担当するアクセシビリティ本部を設けている。 やさしい日本語は、外国人だけでなく多くの人にとって「やさしい」表現だ。 取り組みは主に、急増している外国人従業員への対応として行ってきたが、最近では知的障がいがある従業員を多く雇用する企業からも関心が寄せられているという。
坂巻さんは「やさしい日本語の導入に関しても、オンライン上で知見を公開し、他企業にも使っていただけるように情報共有をして、社会全体の仕組み作りに貢献したい」と意気込む。 導入に関しては、プレスリリースのほかにnoteの記事でも、外国人ユーザーに対するヒアリング調査の結果などを公開している。 「これからもユーザーの皆さんの声を聞き、現場で起こっている困り事を知ることに注力し、試行錯誤して改善していければと思います」(坂巻さん) <取材・文=冨田すみれ子>