山口茜が熊本マスターズ初優勝、日本代表それぞれの新たな道 | 熊本マスターズジャパン レビュー
バドミントンの国際大会「熊本マスターズジャパン2024」は11月17日に最終日を迎え、女子シングルスで山口茜(再春館製薬所)が同大会で日本勢初となる優勝を飾った。また、女子ダブルスの福島由紀/松本麻佑(岐阜Bluvic/ほねごり)、男子ダブルスの保木卓朗/小林優吾(トナミ運輸)が準優勝した。夏のパリ五輪を終え、世界各国の選手が新たな道のりを歩み始める中、日本代表選手もまた、それぞれの一歩を刻んだ。
山口茜、楽しませることを楽しむ姿勢は不変
パリ五輪直後のダイハツジャパンオープン同様、今大会も海外勢は主力の欠場が相次いだ。五輪は、多くの選手にとっての区切り。引退する選手もいれば、休養する選手もいる。五輪イヤーは、BWF(世界バドミントン連盟)ワールドツアーの出場者が固まらず、不安定になりがちだ。その中でも、変わらないのが、日本勢で唯一タイトルを手にした山口だ。
五輪後の一時的なモチベーション低下を認めながらも「ジャパンオープンは、自分の中では相性の良い、力を発揮できる大会。(この大会も)そんな感じに、相性の良い大会になったら良い」と活動拠点である熊本での大会に向けて調整。スピードのあるフットワークで先手を取るラリーを展開した。準決勝では、ポンパウィ・チョチュウォン(タイ)と激闘。ファイナルゲームにもつれたが「相手の選手がしっかり我慢していた。相手が我慢できたということは自分もできる」と相手の闘志に刺激を受けて応戦し、21-18で競り勝った。決勝戦では、連覇を狙うパリ五輪銅メダリストのグレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア)に完勝。得意のダイビングレシーブで回転しながら受け身を取るスーパープレーを披露するなど会場を沸かせ、ファンを魅了した。地元で格好良いところを見せたいと話していた大会を終えて「優勝できたので、100点です」とはにかんだ。
試合後、五輪を終えた後もプレーを続ける意義を問われると「時には結果、時には楽しさを求めながらバドミントンをして、新しい発見やより求めたいものがあればいい」と変わらぬ姿勢を示した。良いプレーで、見る人を楽しませる。それを自分自身が楽しむ。大会のステータスよりも大事にしている山口のモチベーションは、不変だった。