山口茜が熊本マスターズ初優勝、日本代表それぞれの新たな道 | 熊本マスターズジャパン レビュー
パリ大会で初の五輪挑戦にたどり着いた大堀は、引退を表明
一方、五輪を機に大きな決断をした選手もいた。大堀彩(トナミ運輸)は、大会開幕直前に、今年限りの引退を表明。「本当に時間がかかったけど(五輪出場の)目標を達成し、自分では満足できるプレーができた。4年後と考えたときに、そういう気持ちにはなれなかった。残り数大会を自分らしくやりきれば、悔いはない思った」と理由を語った。
国内でプレーする最後の機会になった今大会では、緊張感でリズムを崩した初戦を切り抜け、準々決勝へ進出。山口との試合では、エンジン全開で第1ゲームを先取。痛めている両ひざが疲労で悲鳴を上げて逆転負けを喫したが、最後まで戦い抜いた。まだ国際大会が続くため「来週も再戦できたらいい」と気持ちを切らさなかったが「茜ちゃんの存在のおかげで、ここまで、踏ん張れたのもあると思う。国内での終わり方としては、本当に理想だった。ベストを尽くせたと思います」と日本のファンの前での戦いを、注目度と充実度の高い試合で締めくくった気持ちを表現した。
女子複の福島/松本、組み替えペアで生まれる新たな意欲
そして、新しい意欲を見つけている選手もいる。女子ダブルスの福島/松本は、新ペア結成後、初の大会で準優勝となった。福島は、廣田彩花(岐阜Bluvic)との「フクヒロ」ペア、松本は永原和可那(北都銀行)との「ナガマツ」ペアで長らく戦ってきたが、パリ五輪後にペアを解消。組み替える形で新たなペアを結成した。開幕2日前に国内のS/Jリーグで対戦したばかりで、直前は練習できず、連係は不十分。負けて失うものはない立場だったこともあるが、終始2人笑顔の多い大会だった。初戦となった1回戦では、パリ五輪4位のタン・パーリー/ティナ・ムラリタラン(マレーシア)にファイナルゲーム15-19から追いついて23-21で競り勝ち、ポテンシャルの高さを見せつけた。難関を突破した後は、試合を重ねながら、福島が前衛に入る形から、松本が前衛に入る形へ変化するなど、少しずつペアとしての形を確立。しかし、決勝戦では、パリ五輪で銀メダルの劉聖書/譚寧(リュウ・シェンシュ/タン・ニン=中国)に完敗。第2ゲームは5点しか奪えなかったが、松本は「もうちょっと自分が暴れていいのかなというイメージがある。今までやってこなかったことを出してもいいのかなと感じた」と自分自身の新しい意欲と可能性をのぞかせていた。