“学びへの好奇心”が起点「人と人とが繋がる幸福なまち」福井県福井市の取り組み[FRaU]
また地域の埋もれたリソースを活用することで、大きなインパクトをもたらした事例も。 「参加者がさまざまな打楽器を叩き、ともに音楽を奏でる『まちのドラムサークル』では、福井県庁の屋上を活用しました。これまで使っていなかった県庁の屋上を開いていきたい意向を持つ県と協調し、講座を通じて社会実験を行うことができたんです。取り組みは好評で、これを機に屋上の開放が進んでいる。まちの楽しみ方を広げる事例になりました」 個性豊かな“せんせい”と特徴的な場所を掛け合わせたユニークなプログラムは、老若男女問わず参加者が増えているそう。取り組みは始まったばかりだが「風景が変わりはじめていることに手応えを感じている」と高野さん。その行く末には、ブータンのような“顔の見える”まちを思い描いているという。 「まちを歩けば誰かと挨拶ができたり、やりたいことがあればともに実現できる仲間がいたり。一人ひとりの“居場所”と“舞台”が増え、社会的な繋がりを感じていられる。そんな場所こそ、私にとって住みたいまちであり、つくりたいまちだと考えています。ふくまち大学が、第一歩になればいいですね」 高野翔(たかの・しょう) 1983年福井県生まれ。2009~20年に、JICA(国際協力機構)にて、約20ヵ国のアジア・アフリカ地域でのプロジェクトを担当。20年からは福井県立大学地域経済研究所准教授に。「ふくまち大学」の“まちの学長”を務めている。 ●情報は、FRaU2024年1月号発売時点のものです。