“学びへの好奇心”が起点「人と人とが繋がる幸福なまち」福井県福井市の取り組み[FRaU]
心地良く暮らすためには、自分のまちを自ら住みやすく変えていくのも一つの手。周囲を巻き込みながら率先してまちへ働きかけ、新たな地域づくりをはじめている人を訪ねました。今回訪ねたのは、山と川に囲まれた自然豊かな小都市・福井県福井市。ここで始まったのが、市民に開かれた多彩な学びの場「ふくまち大学」。仕掛け人の高野翔さんが見据えるのは、人と人とが繋がる豊かなまちの姿でした。
ブータンの国づくりで学んだ 社会的に繋がることの豊かさ
「人々が幸せを実感できるまちに必要なのは、自宅と職場以外にほっとできる“居場所”と、自分の可能性を開き、やりたいことを表現できる“舞台”。それらをつくるための装置として、市民がともに学びながらまちの楽しみ方を広げる『ふくまち大学』をはじめました」
そう話すのは、福井県立大学でウェルビーイングに基づくまちづくりを研究する高野翔さん。自身が学長を務めるふくまち大学は、福井商工会議所・福井県・福井市が協力し策定した「県都グランドデザイン」事業の一環として開校した市民大学だ。 「福井は古くから教育を重視してきた土地。福井人特有の“学びへの好奇心”が、まちづくりにおいても起点になるのではと考えました」
学びのジャンルはさまざまで、福井の文化や歴史、未来を考える講座から、着物の着付けや音楽のサークル活動まで、福井駅を中心とするエリアをキャンパスに、多彩な体験プログラムを展開。市民は、プログラム単位で自由に参加することができる。 「大切にするのは、伝える側のやりたいテーマを核にすること。一般的なセミナーでは、テーマに基づき外部から招いた先生の話を一方的に聞くスタイルが多いですが、私たちが提供したいのは、知識よりも自分の可能性に気づいたり、互いに繋がったり、まちの良さを実感したりするきっかけ。そのためには伝える側の熱量と、参加者とのフラットなコミュニケーションが大事だと考えました。ゆえに講座をやりたいと手を挙げてくれた方の好きなことや得意なことを起点にプログラムを決めています。誰もが学びの担い手になれる場を目指しています」