パンジー&ビオラはなぜこんなに盛り上がっているのか?ブームのワケを探る
秋から冬に、圧倒的な人気を誇るパンジー&ビオラ。なぜこんなにも多くの人に愛されるのか。その答えを求めて、佐藤 勲さんにお話を伺いました。38年間苗をつくり続けてきた生産者であり、近年のブームを牽引してきた育種家でもある佐藤さんの言葉から、パンジー、ビオラが愛される理由を探ります。 『趣味の園芸』10月号より、一部を抜粋してお届け。 みんなのパンジー&ビオラの写真
"卒業生"も振り向く花に
今、パンジー、ビオラがこれだけ盛り上がっているのは、"卒業" した方をもう一度振り向かせることができたからだと思っています。 私が苗の生産を始めた38年前から、パンジー、ビオラは大きく変わりました。秋冬から花を楽しめるようになり、花色や花形もどんどん充実し、耐暑性や株のまとまりなどの性質面も年々よくなっていきました。 こうした変化のおかげで、花を育てる入り口のような存在として、長く親しんでもらえるようになりました。反面、「誰でも育てられる」「簡単な花」というイメージから、植物の栽培に慣れてくると"卒業" してしまう方も多く、そこが課題だと感じてもいました。 "卒業生" を振り向かせるきっかけとなったのは、やはり個人育種の盛り上がりです。育種に取り組む人がふえ、それぞれが独自の花を目指す。その結果、バラなど別の植物の愛好家ももう一度目を向けてくれるようになりました。 うんと華やかなものがあれば、いかにも玄人好みの渋いものもあり、幅広い「植物好き」に響く花に進化したのが今のパンジー、ビオラです。
ヌーヴェルヴァーグ。青系、紫系など、花色は100パターン以上。なぜこんな色が出るのか、佐藤さんもわからない。
お話を伺った人/佐藤 勲(さとう・いさお) 花苗家 群馬県でパンジー、ビオラやニチニチソウなど、花壇苗の生産・育種を行う。苗の品質に強いこだわりをもち、生産技術の高さに定評がある。オリジナル品種には熱烈なファンも多数。 ●『趣味の園芸』2024年10月号 「感動のパンジー&ビオラ」より