AIと暗号資産で「電力」争奪戦? 日本も他人事ではない「ヤバすぎる電力不足」の行方
トランプ次期政権は米国をAIや暗号資産の「首都にする」ことを宣言した。ともに莫大な電力を必要とすることから、AIデータセンターと暗号資産のマイニング(採掘)業者との間で電力の奪い合いが起こる可能性が指摘される。イーロン・マスク氏が率いるAI企業xAIが建設したデータセンターではすでに電力不足が発生しており、その対策として移動式火力発電を設置しようとしているという。日本でも電力不足について度々報道されており、他人事ではない。すでに争奪戦の気配を見せる米国は、どのような道をたどるのか。 【詳細な図や写真】全米の電力消費に占めるデータセンターの割合は2030年、11.7%になる見通し(マッキンゼーより編集部作成)
2030年、データセンターの電力消費は「全米の11%」に?
米国を世界のAIの首都にする──トランプ次期大統領が米環境保護庁(EPA)次期長官に指名した、リー・ゼルディン元下院議員(共和党)がこう明言したように、AIは連邦政府の後押しを受けたことで、電力消費が急増する可能性が指摘されている。 米エネルギー調査企業のウッド・マッケンジーの予測によれば、AIブームにけん引されるデータセンター関連の電力需要は2030年までに毎年10~20%ほど伸び、新たに13~35ギガワットという莫大な発電能力が必要となる。 また、コンサルティング大手マッキンゼーによる2030年までの米データセンターの電力需要予測によれば、全米の電力消費に占めるデータセンターの割合が2023年の3.7%から2024年には4.3%となり、2030年には11.7%にまで達する見通しだ。 これに対し、全米の電力消費に占める暗号資産マイニング施設の割合は、米エネルギー情報局(EIA)の推計によると、2024年1月時点の見通しで0.6~2.3%に過ぎない。しかし、最大2.3%という数値は、ユタ州全体に相当するほど大きなものだ。 こうした中、トランプ次期大統領が「米国を暗号資産の首都にする」と宣言。これによりマイニング業界が活気づき、さらにはビットコインが初めて1ビットコイン=10万ドルを超えた。政府の後押しを勘案すると、暗号資産マイニング施設の電力需要は今後さらに伸びるだろう。