自らも養子で育った経験から「家庭のあたたかさを1人でも多くの子どもに感じてほしい」、里親の役目は子どもの命のバトンをつなげていくこと【俳優・平野隼人】
乳児院で赤ちゃんのお世話をするなどの研修を行い、2022年に夫婦で里親認定を
里親になって子どもを迎え入れるには、里親認定をもらう必要があります。 それには(1)児童養護施設や乳児院などで研修をして、家庭環境の調査を受ける、(2)都道府県などの審査を経て、里親として登録される、(3)面会や数時間の外出などで、子どもと一緒に過ごす――といったステップが必要です。 ――里親になるまでのことを教えてください。 平野 まずは住んでいる地域の児童相談所に電話をして、里親になりたいということを伝えました。そして指定された日に、夫婦で児童相談所に行って担当者から里親の条件や手続きのしかたなどの説明を聞きました。 その後は、夫婦で複数回にわたり研修を受け、乳児院に行き、赤ちゃんを抱っこしてあやしたり、沐浴やおむつ替え、調乳してミルクを飲ませる実習をしました。 こうしたことを経て、2022年に夫婦それぞれが里親認定を受けました。 ――最初に預かった子どものことを教えてください。 平野 最初は2歳の女の子を数日預かりました。私としても、もう少し預かっても…と思ったのですが、児童相談所の担当者に「慣れるまでは数日から始めましょう」と言われました。児童相談所の担当者や里親のイベント、講習会などで知り合った先輩里親さんが、わからないことは教えてくれますし、「何かあったら連絡して!」と声をかけてくれるので心強かったです。子どもを預かることに、あまり不安はなかったです。 ――これまで何人ぐらいの子どもを預かっているのでしょうか。 平野 短期委託で3人の子を預かっています。預かり始めた年齢は1歳、2歳、4歳です。どの子も複数回預かっているのですが、会うたびに「大きくなったな~」と思うし、「おしゃべりが上手になったな~」「よく食べるようになったな~」など成長を感じます。 私たち夫婦は、子どもを預かっているときには「ママ」「パパ」とお互いを呼び合っているのですが、子どもたちもまねして「ママ」「パパ」と呼んでくれる子もいます。 ―― 子どもたちを迎え入れる連絡はどのように来るのでしょうか? 平野 児童相談所から連絡が来るのですが、保護者の都合などで直前に「〇日ぐらい預かれますか?」と連絡が来ることもあるそうです。今のところ私は、比較的余裕をもって、少し前に連絡が来ています。 ―― 子どもたちを迎え入れるときは、どのようなことを心がけていますか。 平野 早起き・早寝、食事など規則正しい生活リズムで毎日を過ごし、散歩をしたり、公園で遊んだり、図書館に行って本を読んだりしています。 少し風邪気味で、次に預かったときも風邪気味だったので、小児科に連れて行った子もいます。 「子どもを預かる」というと難しく考えてしまう方もいるかもしれませんが、子育てをしている家庭と何も変わりません。私自身も、いい意味で普通の生活を送らせてあげたいと思っていて、特別なことはあえてしていません。 ――子どもと別れるときに、寂しさはないのでしょうか。 平野 預かるときは全力で!と決めているので、寂しさは感じません。子どもが「また来るね!」と言ってくれたり、笑顔で手を振って帰る姿を見ると寂しさよりうれしさのほうが大きいです。